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2006-09-29 00:00
連載投稿(2)東アジアのFTAは利用しやすい形で
木村 福成
慶應義塾大学教授
日本が対ASEAN諸国向けに並行して進めている二国間アプローチと多国間アプローチについても、混乱を招くのではないかとの懸念が内外から寄せられている。しかし、少なくとも原産地規則に関しては、一企業の立場からすれば、二国間FTAと多国間FTAが並行して締結されてもその都度便利な方を用いればよいのであって、格別の不都合が生ずるとは思えない。
東アジアの場合には、制度の重複や複雑化を過度に恐れるのではなく、いかに貿易の自由化・円滑化のために役立つ形にFTAをまとめるか、FTA特恵関税をいかに利用しやすい形に設計するかに、しっかりと取り組むことこそ重要である。またそのためには、無理に原産地規則を統一しようとするよりも、むしろ品目ごと、協定ごとに便利な原産地規則を設定していくことも許容すべきである。
最近、欧州統合研究の大家であるリチャード・ボールドウィン教授は、ヌードル・ボウルなる概念を持ち出して、東アジア経済統合に警鐘を鳴らしている。彼は、東アジアでは地域統合全体を統括する強力な機関なしに無秩序にFTAが締結されつつあること、それぞれのFTAにおける自由化約束が必ずしも強い拘束力を伴っていないことから、何かをきっかけに東アジアの経済統合が大きく後退してしまう恐れもあると主張している。これはまた違う角度からの指摘であり傾聴に値する。しかし、一方で、東アジアの貿易は弱い拘束力の下でもかなりの程度自由になってきたことも正当に評価すべきであろう。さらに、東アジアにおいて欧州委員会のような強力な統合機関を作ることのコストもよく考える必要がある。(おわり)
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