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2014-01-20 00:00
普天間移設は粛々と進めよ
杉浦 正章
政治評論家
一自治体の選挙にどうだろうこのマスコミの仰々しさは。朝日など一部全国紙は名護市長選の名を借りて、自己のイデオロギーを主張しているとしか思えない。それも時代遅れの反米思想が根底にあって、極東を取り巻く安保情勢の緊迫化などさらさら念頭にない。朝日の那覇総局長は「私たち民主主義社会は投票で意志を示すというルールで動いていると教えられてきた」と勝ち誇ったような論調を展開しているが、ピントが大きくずれている。または意図的にずらしている。普天間移転は日米同盟の要であり、国の安全保障は国政の専権事項である。その国政の有りようは国政選挙で決まるのであり、一市長選が帰趨を左右すべき問題ではない。ましてや移設反対が日本国民の“民意”などではさらさらない。政府は粛々と移設工事を推進すべきである。選挙結果は4000票の開きがあり、自民党が完敗したことは確かだ。辺野古への移設派が3連勝してきた選挙が、前回以降連敗となったのは、紛れもなく鳩山由紀夫の「最低でも県外」発言が影響している。ひとたび無能な首相をいただくと、その祟りは何年たっても続くのだ。加えて創価学会婦人部の絶対平和主義が公明党票を分断した。公明党代表・山口那津男は連立政権であるにもかかわらず、恐らく意図的に自民党候補へ票をまとめることを回避した可能性がある。
自民党幹部の言う「出遅れ」など言い訳にもならない。当選した稲嶺進はかさにかかって埋め立て協議など、市政にかかわる問題への「拒否権」行使を明言した。政府が埋め立てを実行するに当たって、市側との調整を必要とする事項は約10項目にのぼると言われているが、稲嶺は次々に拒否を打ち出して、工事の妨害にでる作戦である。恐らく妨害の座り込みなどにも先頭に立つ構えであろう。その実力行使は政府のハンドリングがまずいと、本土の応援部隊も参入して、成田闘争並みの広がりを見せる可能性がある。加えて11月には沖縄知事選があるが、焦点は普天間移設になるに決まっている。これに敗れると、仲井真弘多の辺野古移転容認の決断が覆される可能性がある。したがってずるずる工事を引き延ばせば、事態は悪化しこそすれ、好転はしまい。官房長官・菅義偉が「仲井真知事が辺野古埋め立ての判断を下した。そこは決定している」と述べ、市長選結果に左右されることなく、知事の埋め立て承認を根拠に辺野古移設を推進していく考えを強調したが、当然であろう。菅は同時に「普天間飛行場の固定化があってはならない。地元の皆さんの理解を得ながら粛々と進めていきたい」と述べているが、大義はまさにそこにある。
市街地の真ん中でいつ事故があってもおかしくない普天間の固定化は何としても避けなければならないのであって、仲井真も全く同様の考えから承認しているのだ。一方で稲嶺を主軸にして反対闘争は盛りあがる方向にある。一部マスコミや特に現地紙の『沖縄タイムズ』と『琉球新報』があおりにあおることは目に見えている。扇動者が市長であるから、とどめようもなく暴力化する可能性も否定出来ない。かつて2004年には掘削地質調査を反対派が妨害するためカヌーで近づき、足場にしがみついて抵抗したケースがある。反対派の実力行使はエスカレートの一途をたどるだろう。問題は座り込みを見れば分かるように、老人が多いことだ。これらの老人を警察が排除に出て、死傷者でも出したらたいへんだ。それこそ移設自体が頓挫しかねない問題に発展する。どう対応するかだが、政府は頭を使うことだ。幸いにも移設先のキャンプ・シュワブは塀で囲まれている。しかし道路を経由した運搬は座り込みで難しい。これを解決するには「史上最大のヘリコプター作戦」を展開することだ。
知られていないが、自衛隊のヘリの輸送能力は世界最大規模であり、大震災でも大変な活躍ぶりを見せた。自衛隊は輸送用中型ヘリ「UH―60ブラックホーク」を28機、大型の「CH-47チヌーク」を70機保有している。ブラックホークは積載量1.2トンであり、チヌークは9トンも運べる。機体下面の吊り下げ装置で吊り下げて、移動することが可能だ。空飛ぶ10トントラックだ。輸送艦「おおすみ」やヘリコプター護衛艦「ひゅうが」などの貨物用のデッキや航空機の格納デッキなどを利用すれば、大量の貨物を運べるのだ。事前に別の場所で作っておいた構造物をどんどん空輸するのだ。トラックで資材を運べば、身を投げ出すような過激派が出てくる。このような反対運動の実力行使に肩透かしを食らわせ、死傷者を出さない最良の方策だ。いわば豊臣秀吉の墨俣城(すのまたじょう)の現代版だ。辺野古ヘリ作戦だ。首相・安倍晋三は仲井真に5年以内の普天間運用停止と早期返還で対米交渉をすることを約した。運用停止を実現するためには早期着工と早期完工しかない。工事が遅れれば普天間の継続が続くだけだ。政府は今月中にも設計を発注するとともに、ボーリング調査などの工事に入る。知事のお墨付きは出ているのであり、市長選の結果に関わりなく、粛々と工事を進めるべきである。
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