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2006-09-27 00:00
IMF改革とアジアの地位向上
村上正泰
日本国際フォーラム主任研究員
先般、シンガポールで開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議とそれに続く一連の国際会議において、IMF(国際通貨基金)のガバナンス構造の見直しが議論された。新聞報道によるとイギリスのゴードン・ブラウン大蔵大臣は「60年間で最大の改革」と評したそうであるが、加盟国のクォータ(出資割当額)とボイス(投票権)に世界経済の実勢を反映させるため、中国、韓国、トルコ、メキシコのクォータ配分の引き上げを決定した。また、今後2年以内にクォータ計算式を見直し、クォータ配分が経済実勢に比べて過少とされる国々の増資を行うという方針も決められた。
しばしば指摘されるように、アジア通貨危機をひとつの大きな契機としてアジアにおける地域統合の機運が高まってきたわけであるが、それは、当時IMFが提示した処方箋が実態にそぐわず、いざという時に助けにならないという不信感を生じたためである。アメリカの経常収支赤字に起因するドルの調整といった潜在的リスクが高まっている中で、地域的な協力・連携体制を構築していく必要があることは言うまでもない。しかしながら、アジアといえどもグローバルなシステムから切り離されて存在し得ない以上、単なる不信感に終わらせるのではなく、IMFをより望ましいかたちに改革し、アジアの立場を一層有効に反映させていくことも考える必要がある。その意味で、今回、我が国がイニシアティブを発揮して、こうした改革を実現できたことは意義深いと考える。
ただし、それと同時に、増資された新興国がそれに見合う責任を国際金融の舞台で果たしていけるのかという点にも留意する必要がある。特に、中国については、今後、どのように為替制度を改革し、人民元の柔軟性を高めていくのかが大きな課題となっている。プレゼンスだけは高まったが、責任ある政策を展開しないというのでは、何のための改革か分からなくなってしまう。議論の過程でいかなる協議が行われたのか詳細は分からないが、中国がこの点をどこまで認識しているのか、注目していかなければならない。
いずれにしても、各国は、経済実勢からの乖離を是正するという理屈だけではなく、いかに発言力を確保するかという国益の観点から考えている。これから始まる第2ラウンドの改革プロセスは一層困難なものになるだろうが、発言力には責任が伴うこともまたしっかりと確認される必要があろう。
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