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2013-12-21 00:00
シンポジウム「日中青年交流のあり方」に参加して
池尾 愛子
早稲田大学教授
国際シンポジウム「未来志向の関係構築における日中青年交流のあり方」が12月20日に都内において、東アジア共同体評議会と北京師範大学国際比較教育研究院の共催で開催された。日中青年交流を幾つかの形で進めている関係者たちによって、ずばり「日中青年交流」の「現状と課題」と「発展に向けて」が発表された。一部中国語と日本語の同時通訳の助けを借りて、フロアからも質問や感想、「訂正」が寄せられた。こうしたシンポジウムを通して、「勘違い」が修正されていくのはよいことである。
日中青年交流については、関係者の努力により続けられてきたことが伝わってきた。パネルの報告から、幾つかの補助金を得ての活動もあったことがうかがえた。一方で、留学生の動向が国際経済協力開発機構(OECD)他の資料に基づいて報告されたことも興味を引いた。中国人留学生が着実に増加している一方で、日本人の若者たちの正規留学者の数がこの3年くらいは減少しているのであった。しかし、日本の大学に関係する者として、そうした数字と私自身の印象とはかなり異なるとコメントした。すると、入学から卒業まで海外の大学にお世話になる正規留学者は減少しているものの、交換留学(1年が主流)、より短期の語学留学、海外インターンは増えているとの補足説明までいただいた。それで、私の印象と合致することになった。
言語の問題は、いつもつきまとって離れない。言語の問題があまり感じられない分野では、早くから交流を進めればよい。議論の中で意識されてきたと思われるが、高等教育になると各分野で言語の必要度は相当に異なっている。言語そのものを修得するために大半の時間を費やす学生たちがいる。そうした学生たちは昔からおり、また関連職業に就くためには今後もそうした言語学習が必要である。文学や歴史の研究でも言語の修得が肝要であろう。同シンポジウムで理工分野は話題にならなかった。しかし、少なくとも発言者の一部には社会科学分野での言語の問題をどうするのか、改めて認識されたのではないだろうか。
時間の関係で発言できなかったことを一つ加えれば、日本研究を専門とする中堅・若者たち(大学院生を含む)が日本語教師として、中国に赴任している。中国で教えている日本人は増えているのではないだろうか。言語の問題はさておいて、日中の青年交流のテーマについての提案もあった。3つほどあげられたテーマの中に、省エネルギー・環境問題があったと思う。大気汚染の問題については、PM2.5の問題が深刻であることも正直に述べられた。しかしながら、この問題については日中省エネルギー・環境総合フォーラムを土台にして行ってきたことを継続していくことの方が望ましいのではないかと思う。そうではなく、もし日中の青年の問題であるとするのならば、言論の自由や報道の自由を認めて、世論を形成することによって、中国企業を変えていく必要があるという話になるのではないだろうか。中国の大気汚染の問題は1960年代の日本を既に凌いでいるように感じられるのである。
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