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2013-12-20 00:00
問われる安倍首相の価値観の中味
若林 洋介
学習塾経営
安倍首相の価値観外交が、なぜ米国政府と齟齬を来たしているのかについて考えてみる必要がある。米国にとっての日米同盟とは、戦前の日独伊三国同盟からの脱却後の日米関係の構築を意味している。先の大戦は民主主義とファッシズム(軍国主義)との闘いであり、価値観の闘いでもあった。19411年のルーズベルト大統領による「四つ自由(信教の自由・言論の自由・恐怖からの自由・欠乏からの自由)」演説は、民主主陣営の価値観を明確に表明したものであった。また三国同盟のファッシズム陣営に属する日本の軍国主義を打倒して、日本を民主主義陣営に仲間入りさせることこそが、占領政策の目的であった。
日本の軍国主義を断罪し、民主主義を確立するために東京裁判が位置づけられている。その占領目的が達成された段階で、1951年のサンフランシスコ講和条約が締結されると同時に、日米安保条約も締結され、日米同盟が確立したということになる。したがって、先の太平洋戦争の意義は、日本をファッシズム陣営から、民主主義陣営に仲間入りさせるためにはどうしても通過しなければならない価値観の対決という意味を持つものであった。
ところが安倍首相は、自由と民主主義の価値観に基づく国家間の連帯を提唱しておきながら、他方においては、「戦後レジームからの脱却」を標榜し、東京裁判における日本軍国主義の断罪に対しても「戦勝国による一方的な断罪」であるとして異議を唱えている。しかも安倍首相は、第一次安倍内閣の時代、東京裁判の判決に対して最も厳しく批判した「パール判決」を裁定したパール判事について、「極東国際軍事裁判で気高い勇気を示されたパール判事は、たくさんの日本人から今も変わらぬ尊敬を集めている」と訪問先のインド国会において演説している。
そうなると、米国側から見ると日本は先の敗戦を通して軍国主義の価値観を脱却し、自由と民主主義の価値観を確立したはずではなかったのか、今さら安倍首相が歴史修正主義の発言をし出すとはどういうことなのか。ファッシズム陣営時代の軍国主義を肯定するような歴史修正主義者の言う「自由と民主主義の価値観」とは、いったいどういうことなのか、ということになる。安倍首相は本当に「自由と民主主義の価値観」を米国政府及び国民と共有しているのか、疑わしいではないか、というのが、オバマ政権のスタンスなのではないのか。安倍政権、オバマ政権共に今後3年間は続くであろうということを考えるならば、日米の信頼関係の構築は非常に難しいものとなっていくに違いない。そして何よりも憂慮すべきなのは、このような議論が日本のマスコミでも、国会審議の場においてもまともになされていないということである。
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