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2013-12-19 00:00
(連載)日米安保解消に備えて(1)
加藤 朗
桜美林大学教授
中国の防空識別圏設定をめぐって日米中韓の外交的駆け引きが熾烈になっている。この問題の核心は、米国が日本と自由民主主義の理念の同盟を強化するのか、あるいは理念など放棄して中国と経済関係を強化する利益の同盟を選ぶのか、いずれの外交をとるかにある。後者であれば、その時日米安保は解消することになるだろう。日本にとっては価値観外交を展開し、理念の同盟として日米同盟を継続、強化するのが望ましい。しかし、次のような理由から、理念の同盟は瑞雲のごとく実態のない淡いものでしかないかもしれない。
第一は日米の歴史認識の相違である。安倍首相は戦後レジームからの脱却を第一期政権当時から主張している。それはアメリカから見れば、日本の第二次世界大戦の敗戦を真っ向から否定するものである。中国が非難するように戦後秩序の否定つまりアメリカの対日支配体制の否定であり、本質的には日米同盟の否定、対米自主独立に他ならない。だからこそ、アメリカのメディアが安倍首相を右翼と批判し、警戒心を露わにするのである。オバマ大統領は2013年2月に安倍首相、5月に朴槿恵韓国大統領、6月に習近平中国国家主席と会談しているが、安倍首相との会談が一番そっけないものであった。それこそがオバマ大統領や政権の対安倍、対日感情を表しているように思えてならない。
確かにトモダチ作戦のように日米の軍同士の紐帯は強固なものがある。米軍が自衛隊との関係を維持したいのは前方展開戦略によってアジアの平和と安定を維持したいというよりも軍事費削減に歯止めをかけ国内外での影響力の衰退を食い止めたいからだろう。1996年の安保再定義にあった「日米安保はアジア太平洋の平和と安定の要」の時代はとっくに昔話となり、今や米中こそが「アジア太平洋の平和と安定の要」となっている。アメリカが本当にアジアの平和と安定を目論むなら、中国の主張するように共同覇権体制を構築すれば済むことだ。北朝鮮問題は中国に任せれば、米韓同盟も不要さらには日米同盟も不要となる。
この米中野合の悪夢が正夢にならないように、価値観外交で理念の同盟を強化すべくアメリカの親日派に働きかけて米中離間を図る必要がある。ワシントンには親日派が少数ながらも生き残っている。しかし、その親日派でさえも反日感情を高めていることがある。それは慰安婦問題である。この問題が日米間で文化摩擦を起こし、理念の同盟を難しくしている第二の理由である。産経新聞(2013年12月6日)が伝えていたが、親日派の最有力者アーミテージでさえも、慰安婦問題については日本を厳しく批判している。ケビン・メヤ元米国務省日本部長も、慰安婦問題について日本に同情するものは誰一人いないと断言する。ワシントンで慰安婦問題に接した私の実感も全く同じだ。(つづく)
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