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2013-12-10 00:00
お先真っ暗の江田新党
杉浦 正章
政治評論家
「おちょこの中の嵐」がせめて「コップの中の嵐」になりたいともがいているのが、民主党前幹事長・江田憲司ら14人の離党組だ。新聞は新党結成だと大騒ぎする癖があるし、売名評論家はもっともらしい数をテレビで公言するが、核心は江田とみんな代表・渡辺喜美の“私闘”にある。古来私闘で大事を成し遂げた例はない。離党者の内13人が、総じて何も知らない比例区選出1年生議員であり、江田以外は「数合わせ」だけの存在だ。その「数だけ議員」が、ただでさえ少ない野党勢力内部の“地割り”を変えても、大勢に影響は出ない。政界再編というなら、せめて民主党が分裂するか、自民党を割るくらいの勢いがなければ、自民党に対抗する勢力など出来るわけがない。江田は「我慢の限界」と言って飛び出したが、これがすべてを物語っている。渡辺と全く反りが合わず、感情論を口にせざるを得なかったのだ。渡辺は「11月や12月に出来る新党がその後瞬く間に消滅するのは、政党助成金目当てだからだ」とこき下ろしているが、当初せいぜい4人くらいの離党と高をくくっていたのに、党の4割が離党し、さらに増えかねないのでは、内心穏やかではあるまい。気が狂いそうになっているに違いない。要するに、渡辺の政治家としてのキャパシティーの限界が露呈したことになる。渡辺は離党者に「今後は『自民党渡辺派』でいく」と述べて、慰留したと言うが、これで野党としての矜持などひとかけらもないことが判明した。要するに、その日その日の風次第というわけであろう。
しかし、渡辺は、首相・安倍晋三との関係の良さをフルに活用して、今後なんとか生き延びようとするだろう。その最大のカギが、秘密保護法への協力に次いで、集団的自衛権行使容認提言だ。近くこれをまとめる方針だという。狙いは明らかだ。集団的自衛権の行使には公明党が反対しており、来春以降これをめぐって自公にあつれきが生ずる可能性がある。そこを狙って、公明に取って代わり、自民党との連立で入閣を目指すというところだ。自民、みんなで参院ではぎりぎり過半数の121に届くから、公明が離脱しても、無所属などを入れれば、ねじれにはならない。安倍にとってみれば、公明党をけん制するためのもってこいの材料ではある。しかし、渡辺の狙いも今後、参院の離党者が増えれば水泡に帰しかねない状態ではある。一方で、江田も飛び出したはよいが、展望が開けるかというと、むしろ「お先真っ暗」と言った方がよいだろう。まず比例議員ばかり集めても、強い党の組織を構成できない。比例議員とは、政党に当選させてもらう人々であり、選挙の厳しさは、選挙区議員の十分の一も知らない。これらの議員が、政党としての選挙活動の原動力になるかというと、とても無理だ。12月10日に江田と民主、維新との超党派議員の勉強会が立ち上がるが、これは再編に直結するものではない。
江田はこれまで、維新幹事長・松野頼久、民主党前幹事長・細野豪志との会合を重ねてきたが、まだまだ海の物とも山の物ともつかない。最近細野に関して、小沢一郎が側近に「予想外に小さい」と漏らしたことが、永田町に広がっている。回転の大事業をこなせる男ではないというのだ。環境大臣のころは新聞にチヤホヤされたが、避難者の帰還をマスコミの“風評”に煽られて、1㍉・シーベルトという達成困難なレベルに設定してしまい、これが帰還を遅らせる最大の原因となってしまった。細野が民主党を割って政界再編へとつなげることができるかというと、とてもその力量はない。これを裏付けるように、細野は執行部筋に「新党を作るようなことはしません」と釈明している。江田はとても民主党にくさびを打ち込めるような状況ではない。むしろ民主党の動きは、維新の橋下と親しい前原誠司がどう動くかにかかっているが、前原が江田党首の下で新党に参加することはありえない。
一方、江田は維新の会との連携に自信を持っている。たしかに維新共同代表・橋下徹とは親密な関係にある。橋本も江田の離党を「大義がある」と褒めたが、大阪では「私闘」でも「大義」と言うらしい。江田がすがるとすれば橋本しかないが、いまや橋下人気は地に落ち、その発言は中央政界から見ると“疝気筋”じみていて、相手にされていない。橋下の大阪グループに属する松野だけが頼りだが、共同代表・石原慎太郎ら旧太陽の党系グループはそっぽを向いている。旧太陽系幹部は「維新は第3党であり、大きい政党が、小さく割れた政党にのまれたり、その動向に左右されることなどあり得ない」と述べている。江田の戦略は、比例区議員が法律上新党でなければ移籍できないことから、維新が新党に衣替えしないと、合流は困難だ。しかし、維新の東西対立はまだ分裂にまで発展する気配はないし、江田にその力量はあるまい。松野がとりあえず江田新党と院内統一グループの結成に動きそうだが、憲法改正、アベノミクス、原発政策など重要課題でことごとく一致しない党と院内会派が出来るだろうか。むしろ、維新自体の党分裂の要因になるのがオチだろう。江田としては、再来年の統一地方選挙をめどに新党への動きを加速したいところだが、来年の話でも鬼が笑う政界で、再来年の話をしても遠すぎて予測など出来ない。したがって橋下の言う「民主、維新、みんなで志が同じ人が一つの巨大な塊をつくるのが、3党の役割だ」などという発想は、まだまだ机上の空論に過ぎず、「巨大な塊」などは誇大妄想の部類に入る。
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