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2006-09-24 00:00
ASEAN+3で進める意義
本名 純
立命館大学国際関係学部助教授
ASEAN+3の枠で非伝統的安全保障(NTS)の問題を議論することは疑問であり、その理由は(1)米国や豪州など域外の役割抜きに語れない、(2)すでにARFで議論してきた、とのご意見を拝読致しました。私も以前は同じ見方でしたが、調査を進めるにつれ、現実的にはASEAN+3で進める意義が大きいと思うようになりました。以下の2点からそう考えています。
第一に、実際にNTSの地域協力をプラス3で進めたがっているのはASEANであるという事実が重要だと思います。特に越境犯罪(TC)の脅威を地域で対応するために、ASEAN事務局の主導で、毎年のSOMTC+3、隔年のAMMTC+3といった制度が本格化しつつあり、そこでは具体的な支援・協力プログラムが作成されつつあります。ARFでの「対話」はブレーンストーミングとしては重要ですが、実際の協力案件の開発(特にASEAN各国のキャパシティ・ビルディング)においては、ASEAN事務局がプラス3との連携の上で、それを進めようとしています。例えばテロ対策であれば、彼らはアメリカのアプローチにはない日本の優位性を見ていますし、人身売買・麻薬であれば、中国を取り込まないと話にならないと考えており、サイバー犯罪であれば韓国の協力が不可欠だと認識しています。ですから、我が国としては、ARFでの議論を汲み取りながら、具体的な地域協力の推進においては、ASEAN+3の中でイニシアティブを取って、域内越境犯罪に対応するサステイナブルな制度構築とキャパシティ・ビルディングに取り組むべきかと思います。ARFがあるのでプラス3は意味がないというよりも、ARFもプラス3も両方必要ではないでしょうか。
第二に、NTSで扱われる越境犯罪は、米国や豪州の立場に関係なく、我が国が東アジア地域の文脈で深刻に考えなければならない問題です。なぜなら、我が国は域内越境犯罪の最終目的地であるケースが多く、例えば先日横浜港で発覚したフィリピンからの大量の武器密輸、インドネシアからの違法木材、中国からの安価なMDMA(合成ドラッグ)、韓国で生産される精密偽造旅券、そして各国からの女性の密輸などなど、取引の一方に我が国の組織犯罪が存在する実態を考えると、東アジア共同体の制度基盤であるASEAN+3の枠で、我が国が積極的に対応を考える責任があると思います。マフィアたちの東アジア共同体は急速に進行しており、それはアジアの市民社会への脅威です。ARFとの連携は当然重要ですが、一義的には東アジアの域内で対応を早急に進めていくべき問題かと思います。
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