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2013-11-22 00:00
一筋縄ではいかないシリア和平交渉
川上 高司
拓殖大学教授
シリアの化学兵器の放棄作業が進んでいる。シリア国内の化学兵器はラタキアに集められそこから国外へ運ばれて廃棄作業となる。放棄作業が順調に進んでいる一方でアサド政権側と反政府側との和平交渉は遅々として進まない。シリア和平会議であるジュネーブ2が開催される予定だったが、反政府側が出席を拒否したため開催が見送られることとなってしまった。反政府側はアサド政権の退陣を出席の条件として提示している。だがアサド側はいかなる条件も認めない姿勢のため開催の目処が立たない状態である。
混沌としているシリアの国内情勢に混乱を深めるかのようにイスラエルはここ数ヶ月の間にシリアへの空爆を行ってきている。イスラエルがターゲットとしているのは、シリアがレバノンの過激派組織ヒズボラへ供給する武器類である。10月30日にもラタキアにあるシリア軍の基地を空爆し、ヒズボラへ輸送予定であったミサイルを撃破した。
これまでイスラエルは空爆をしても自らが行ったことは公言せずだんまりを通してきた。つまりイスラエルが空爆したという確証はアサド政権をはじめだれにもなく、非難もできなかった。だが、30日の空爆に関してはアメリカがメディアにリークしたため瞬く間にイスラエルによる空爆だと世界に知れ渡ってしまった。このリークにイスラエル側は激怒している。なぜならばこのリークがホワイトハウスから出ていることがわかったからである。イスラエルから見ればこのリークは同盟国への裏切り行為にも近く、他の部門からのリークならともかくホワイトハウスがイスラエルの不利になる情報を漏らすことは「想定外」というのである。
このリークがオバマ政権からのリークだとしたらその意図はどこにあるのか。シリアの混乱に輪をかけるイスラエルの空爆に警告をしたのか、シリアの化学兵器の廃棄作業の妨げになることを避けるためのリークなのか。いずれにしても今回のリークはオバマ政権とイスラエルとの距離感を表していて興味深い。シリア情勢は一筋縄ではいかない。
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