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2013-11-18 00:00
「財界訪中で『政経分離』の流れ急」を読んで思う
中山 太郎
団体非常勤職員
18日付の本欄への杉浦正章氏の投稿「財界訪中で『政経分離』の流れ急」を読み、杉浦氏のいつもながらの示唆にとむ論述に触発され、長年中国に取り組んできた経験から最近の日中関係について一言述べたい。
中国の3中全会が終了し、一応、中国指導部内での手打ち式も済み、中国の対日外交が開始されだしたとの声が、しきりに聞かれるようになった。そうした中で、中国乃至その意を汲む日本側の識者から流されているのが、「小異を捨て、大同につけ」とか、「民間主導で交流を盛んにして行こう」などの声だ。杉浦さんがその論述で取り上げているように、この度、日本から大型の経済使節団が訪中する。それに関して心配なのは、日本人が、外交ベタで、冷静な外交判断が出来ず、心情的に極端に走り、あとから振り返ると誤った判断をしがちだということである。
読売新聞11月16日付の「昭和時代」を読むと、全体主義、共産主義国家の平和攻勢には必ず先方の都合、戦略があり、日本がそれに乗って日独伊三国同盟から対米戦争へと突き進んだ経緯を教えてくれる。過去、日本はこうして、中国や他の国々につけ入る隙を与えてきたのである。雪解け外交が始まると、必ず国内の一部から、「防衛費など安全保障に金をかけるのは如何なものか、震災、原発問題、社会保障にその金を回せ」といった声が湧き上がる。
その声に負けてはいけない。相手は、社会保障、環境に回すべき金を軍事費につぎ込み、力で向かってきているのだ。こうした状況下において、日本は、政治経済はじめ社会の耐性をしっかり固めておくべきである。日米提携を固めようとすると、保守層からも、従米はけしからん、などとの声も聞かれるが、今の時期、日本単独でやって行けるのか考えもらいたい。元外交官の宮家邦彦氏は、近著「語られざる中国の結末」で、ロシア、インド、ASEANを当てにするな、と鋭く洞察している。外交に必要な「人参と棍棒」のうち、今までなおざりにしてきた後者を、法体制の整備を始めしっかりと固めておくことだ。目先の利益に幻惑され、対局を見失わないようにしなければならない。今こそ、臥薪嘗胆の時期なのだ。
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