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2013-11-15 00:00
フォーブス誌ランキングからみる4強時代の到来
川上 高司
拓殖大学教授
10月30日、フォーブス誌が世界でもっとも影響力のある人物ランキング2013年度版を発表した。フォーブス誌は政治や経済、財界、宗教などの分野から72名を選び、それぞれの活躍を考慮してランクをつけた。今年世界の頂点に立ったのはロシアのプーチン大統領だった。シリアへの軍事攻撃をアメリカとヨーロッパが推し進める中、アサド大統領を説得し化学兵器の破棄をさせることで軍事攻撃を回避した。その見事な外交手腕が評価されたのだが、まさに外交による解決というスマートパワーのお手本となったことに異論はないだろう。
2位にランキングされたのは昨年は1位だった、バラク・オバマ大統領だ。エジプトの政変、シリア問題、NSA盗聴問題と外交面でだけでなく、政府機能の閉鎖とデフォルト危機を招いて国内政治でもマイナス点を積み上げたが、失敗しても影響力が絶大なのは変わらない。良くも悪くも世界はオバマ大統領の動向に敏感で期待も大きい分失望も大きい。3位につけたのは中国の習近平国家主席である。外交面ではそれほど目立った成果はあげておらず、米中会談が世界の注目を浴びたくらいであろう。もっとも米中関係の改善に貢献した点は評価されるべきで、成果がそれほどなくても存在感は抜群である。昨年のランクは9位であったから大躍進である。
5位に付けたのはドイツのメルケル首相だった。ユーロ危機以来その政治手腕は評価が高くなりつつある。今では文字通りEUを引っ張る指導者としての力量と自信は不動のものとなっている。もちろん、世界で最も影響力のある女性としてはトップに君臨している。ちなみに4位に位置するのはローマ法王である。シリア問題では世界中に平和の祈りを呼びかけると10万人の人々がバチカンに集ったが、その影響力は国境を越えて十分に大きい。宗教者でローマ法王に続くのは23位にランクされたイランのハネメイ師である。彼はロハニ大統領に対して強い影響力を持ちそれはアメリカとの関係にも影響を及ぼす。その点が評価されたのだろう。
上位の政治的指導者を見ていると、ロシア(ユーラシア)、アメリカ(南北アメリカ)、中国(アジア・オセアニア)、ドイツ(ヨーロッパ)と地域的には全世界をほぼ網羅している。4強時代の到来だろうか。
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