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2013-11-13 00:00
(連載)通信傍受の効用を忘れるな(2)
高畑 昭男
ジャーナリスト
日本政府も95年にジュネーブで行われた日米自動車交渉で、橋本龍太郎通産相の通話がNSAに傍受され、それを要約したCIAメモが米通商代表に逐一報告されていたと当時から言われていた。同盟国ですらこうなのだから、親しい国とはいえ、日本を除けばどの国でも互いに通信がしっかりと傍受されているものと考えた上で行動するのが国際政治の常識というものだ。
オバマ政権を非難したドイツやフランスも、実はそれぞれに通信傍受をしていたと報じられた。ウォーターゲート事件のように相手の事務所に押し入って盗聴器を仕掛けるといった露骨な犯罪ならいざしらず、自分たちも通信傍受に手を染めていながら、「10年間も電話を傍受されていた」というメルケル氏やその側近たちはおめでたいというしかない。
むしろ懸念すべき問題は、米英などの情報収集に批判が集中し、「プライバシー侵害」といった卑近なマイナス面ばかりが批判されるあまり、国際テロの未然防止やサイバー攻撃対策といった公益面が失われかねないことだろう。先月末、一連の盗聴騒動などに関連してアレクサンダーNSA長官は「当局の情報収集と分析によって米内外でこれまでに50件以上のテロ計画が未然に阻止された」と語った。一方で、スノーデン元CIA職員による暴露などのためにテロ組織が携帯電話などによる通信を回避し始めたという残念な情報もある。
浮ついた時流や世評に流されて、情報収集を必要以上に制限するのは「角を矯めて牛を殺す」結果になりかねない。自前の諜報機関を持とうとせず、米英の情報提供に依存してきたのが今の日本の姿だ。新設される日本版国家安全保障会議(NSC)にとっても、尖閣諸島問題や中国軍の動向を知る上でそうした情報・分析は欠かせない材料だ。親しき仲で傍聴・盗聴をされるのは決して気持ちのいいものではない。それでも、冷静に国益の得失を考え、自らの情報保全に万全を期した上で米英との情報協力をさらに緊密にしていくことが日本には必要だ。(おわり)
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