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2013-10-31 00:00
「無人航空機」による国防の問題点
川上 高司
拓殖大学教授
10月24日、ロシア空軍の司令官はイラン革命軍空軍司令官とロシアのS-300防空システムについて話し合うためテヘランを訪問していた。2007年にロシアがイランから請け負ったものの2010年のイランへの国際的な経済制裁発動に伴いロシアは開発を中止しイラン側は激怒していた。アメリカとイランの宥和ムードを先取りして、その防空システム開発再開の話合いが始まった。
今回の訪問でイラン側は、ロシアの司令官に粋な贈り物をした。それはアメリカの無人偵察機「スキャン・イーグル」の完璧なコピー機だった。昨年12月にアメリカの無人偵察機がイラン領内に着陸した。イラン側は「強制着陸させた」といい、アメリカは「機器の故障による着陸」と主張してゆずらなかった。当時イラン側はコピー機を製作すると宣言し、その言葉通りほぼ1年かけてコピーに成功した。このコピー機は「我が国の技術の高さを物語る」とイラン側は胸を張る。
実は2011年にイランがアメリカの無人偵察機RQ-170を捕獲してから、イランは無人偵察機の開発に力を入れてきた。2012年9月には独自の無人偵察機「シャヘド(Shahed)129」の開発成功にこぎつけている。イランは、国境の国防には無人偵察機は有力であり活用していくという。無人偵察機から無人爆撃機に至るまで無人航空機が世界で活躍中である。技術革新の結晶である無人航空機はなによりもパイロットや兵士の命を危険にさらさない。オバマ大統領は対テロ対策としてCIAの無人爆撃機によるテロリストの暗殺に力を入れている。
だが空爆は市民の巻き添えを伴うことが少なくない。国際的な人権監視団体ヒューマン・ライツ・ウオッチとアムネスティはパキスタンやイエメンでのアメリカの無人爆撃機による空爆で多くの市民が犠牲になったとの報告を発表し、無人爆撃機による市民の巻き添えに対して「戦争犯罪」の可能性をも示唆して警告を発している。これに対してホワイトハウスの報道官は「戦争に市民の犠牲はつきものだし、空爆に際しては市民に十分注意を払っている」と弁明している。空爆で家族を失った市民が多いパキスタンやイエメンではアメリカの空爆に対して激しい反米感情が起こっている。その憎悪がテロを生むという現実にはオバマ政権はまるでおかまいなしのようである。無人航空機による国防は次世代を予感させるものであるが、問題もはらんでいる。
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