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2013-10-25 00:00
サウジの非常任理事国辞退は中東激震の兆候か
川上 高司
拓殖大学教授
10月17日、国連では非常任理事国の改選が行われ、サウジアラビアをはじめ5カ国が議席を獲得した。サウジアラビアにとっては初めての議席獲得であり長年同国は議席獲得に向けて多大な努力をしてきた。そのようやく得られた議席を18日には辞退するという異例の行動をとった。サウジアラビアとしてはシリアへの国連の対応に不満があり、国連はまったく機能していないと抗議の辞退をするというのだ。
サウジアラビアはシリアへの軍事行動を強く望んでいたが、米露の主導により軍事行動は回避されたことが納得できないでいる。国連への不満というよりはアメリカの外交政策への不満の表れなのかもしれない。確かにアメリカはシリアへの軍事行動を回避しただけでなく、サウジアラビアにとって旧敵のイランとの距離を急速に縮めつつある。アメリカとイランが宥和することはサウジアラビアにとっては最も避けたい事態である。危機感を募らせていることは間違いない。
サウジアラビアは国際政治においてそれほど話題に上る国ではない。むしろ目立たないが、だからといって影響力が小さいわけではない。イスラム教にとっての聖地を抱えておりアラブ地域にとってもイスラム 諸国にとっても大国である。アメリカとも緊密な関係を維持している。そして世界にとっては石油産油国として世界経済への影響力は絶大である。事実、サウジアラビアの辞退は、アラブ諸国やイスラム諸国に衝撃を与えた。自分達の利害の代弁者としてのサウジアラビアには国連で影響力を発揮して欲しいと再考を求めている。
だがサウジアラビアの辞退が国連の対シリア方針に影響を与える可能性は低い。オバマ政権がこの辞退に狼狽するとも考えにくい。そうならばなぜ的外れに見える抗議行動を取るのか。あるいはサウジアラビアの危機感や焦燥感の表れなのか。中東の地政学が激震している兆候がここにも現れている。
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