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2013-10-04 00:00
電話会談によるオバマ外交の真骨頂
川上 高司
拓殖大学教授
シリアの化学兵器破棄の問題では、ロシアのプーチン大統領が外交交渉の凄腕を如何なく発揮して存在感を世界に示す一方で、外交政策が右往左往したオバマ大統領はいいところがなかった。世界がオバマ大統領に失望したのも無理はない。だが、9月24日から始まった国連総会ではオバマ大統領は世界を揺さぶって、アメリカ大統領としての存在感とその外交手腕を見せつけた。やはりオバマ大統領はただ者ではない。世界が再び彼に期待を寄せることになるかもしれない。
国連総会ではイランのロハニ大統領とオバマ大統領の会談に期待が寄せられていた。あるいはせめて握手だけでもしないだろうかと世界中が注目していた。両者の接触はなかったものの、安全保障理事会常任国とドイツ、イランが参加する6カ国協議にはケリー国務長官とイランのザリフ外相が出席した。閣僚クラスが直接会談するのは実に6年ぶりで、このことすらビッグニュースである。
会談は45分間と長くはなかったが、ケリー国務長官が「たいへん建設的だった」とコメントし、次回は10月15日~16日に会合を持つ事で合意したほかは具体的な合意はない。だが継続して取り組んでいくことと、閣僚どうしの直接対話が実現したことは大きな前進である。そして27日、オバマ大統領は記者会見でさりげなく伝えた。「実はロハニ大統領と電話で話したんだよ」。アメリカはもちろん、イギリスやイスラム系のメディアのトップニュースとしてこのニュースは世界中を駆け巡った。直接対話が電話という形で実現するとは誰も予測できなかったに違いない。
1979年以来、両国大統領は直接話をしたことがない。その34年間の断絶を修復させたということは、イランを含む中東の地政学が大きな変動期に入ったということだ。ロハニ大統領はイランは問題に取り組んでいくことを確認、オバマ大統領もイスラエルなど周辺国と協力してアメリカも取り組んでいくことを約束した。ドラマチックな演出もないあまりにもあっさりした歴史的瞬間の創出に、オバマ大統領の徹底した現実主義を見る思いである。
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