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2013-08-19 00:00
(連載)消費増税を「国際公約」とうそぶく恥じない面々(1)
田村 秀男
ジャーナリスト
財務官僚に洗脳されたとは思いたくないが、麻生太郎財務相が消費増税への前のめり発言を繰り返している。財務官僚があせって首相周辺やメディアの幹部たちに「予定通り増税しないと、日本国債が暴落する」と“ご説明”に回っているのだが、肝心の安倍晋三首相は依然として慎重姿勢を崩していない。副総理でもある麻生財務相は安倍首相の「盟友」でもあるから、その発言は安倍氏の意向に全く反するとは考えにくいと、市場関係者はみる。だから、市場では「消費増税はもはや織り込み済み」となって、円と国債が買われ、株価が下がり気味になるのが、最近の姿だ。
市場は確かに正直で、増税はデフレ、デフレなら日本国債が買われるので円高、円高なら日本企業収益は下がるので日本株は安くなる。消費増税不可避モードの円高・株安は明らかに、増税後の日本のマーケットの低迷をまるでジプシー占いの水晶玉のように映し出している。
が、真に問題なのは、消費増税をめぐるドタバタ劇ではない。財務官僚、それにくみする主流メディア、麻生氏ら政界の増税推進派は、日本という国を本当によくするということに関し、消費増税によってアベノミクスを頓挫させ、脱デフレに失敗したとき、責任をとる覚悟があるかどうかである。橋本龍太郎政権下で1997年度の消費増税が引き起こした「15年デフレ」で国の衰退、国民の疲弊を招き、財政収支悪化を引き起こした責任を財務官僚は誰もとっていないし、それを支持した政治家もメディアも知らぬ、存ぜぬである。唯一、当の橋本氏があとで激しく悔やんでいただけである。
橋本氏は筆者が知る限り、恥を知るサムライの精神を持つ数少ない政治家である。実は、権力者・エリートたちの無責任さこそが、安倍首相の言う「戦後レジーム」の副産物である。政策を間違えても、「無謬」の理屈付けに徹する財務官僚、その理屈付けに手を貸す御用経済学者たち、御用経済学者の言説を重用し続ける日経新聞など主流派メディア、そして増税デフレを全く意に介さない政治家たち。増税翼賛会グループこそが「戦後レジーム」を形成している。(つづく)
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