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2013-08-13 00:00
(連載)1%刻みの増税は次善の策となりうるか(2)
田村 秀男
ジャーナリスト
折しも、税収は急速に改善し始めた。景気拡大に伴う企業収益の回復は今後、法人税収を飛躍的に拡大させる可能性がある。企業と銀行はこれまでの慢性デフレの間に巨額の欠損を抱え、税務会計上として「繰越欠損金」として計上し、単年度で利益が黒字になってもそれまでの欠損額を下回っていれば7年間は法人税を払わなくても済んだ。
国税庁によればこの繰越欠損残高は11年度で実に76兆円に上る。法人税率を40%とすると、潜在的には約30兆円の法人税収が失われているわけだ。もちろん、累積欠損が法人全体でゼロになることはありえないだろうが、デフレが続けば欠損金が膨らみ、逆に適度なインフレで収益が拡大すれば欠損金は大幅に縮小し、法人税収は飛躍的に増える。さらに所得税収、消費税収も景気に共振する。
そこで判断の鍵になるのが、名目国内総生産(GDP)の伸び率1に対する税収の増加率(弾性値)である。財務省は1.1にすぎないとみているが、1980年代後半のデータに基づくので、信頼度が低い。最近の実績からすれば3前後という見方が、民間研究機関の大勢だ。消費増税を前提に財政再建に向けた政府の「経済財政の中長期試算」によれば、14年度の一般会計税収必要額は51兆5000億円だが、名目成長率3%を今後2年間持続すれば、弾性値が3として税収は52兆円を優に超すはずだ。増税よりもアベノミクスを成功させることこそが財政再建の近道なのだ。
安倍首相はこの際、専門家を動員して景気と消費税率ごとの税収のシミュレーションを徹底して試みるべきだ。財務官僚の支配下にある内閣府エコノミストを外すわけにはいくまいが、総括責任者に浜田教授や計量経済モデルの国際的権威を据えればよい。かつて池田勇人首相は官僚任せではなく、自ら選んだエコノミストの試算に基づいて「所得倍増計画」を打ち出し、見事に実現したではないか。(おわり)
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