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2013-08-07 00:00
APECをアジア太平洋統合へ役立てよ
山澤 逸平
一橋大学名誉教授
今年はインドネシアが2度目のAPEC主催で、ボゴール目標の達成がハイライトされている。1994年インドネシアのスハルト大統領は有名なボゴール宣言を発表した。「アジア太平洋地域で自由で開かれた貿易を2020年までに実現する」というものである。どうやって達成するか。翌年APECを主催した日本の創案した大阪行動指針に基づいて、APECは非拘束的な個別行動計画方式で、自由化円滑化を進めてきた。これには功罪がある。
大胆な宣言で、アジア太平洋の潜在成長力へ世界の関心を集めることができたし、非拘束ゆえに速やかに実施できた。他方自由化は限定的で、直後に発生したアジア通貨危機に対応できず、21世紀に入ってTPP等のFTAが叢生し、APECの役割は周辺化された。2010年横浜APECの首脳宣言で、中間評価が行われ、個別行動計画方式はそれなりの成果を収めたと認められ、2020年に向けて21エコノミーが揃って続行すると確約された。他方TPP、ASEANプラス等のFTAを並行推進させ、アジア太平洋FTA(FTAAP)を目指すとされたのである。APECはその強固な土台となる。
私は個別行動計画(今は隔年に更新される)の分析に取り組み、自由化円滑化でどこまで達成でき、何が残っているかを明示した(詳細はAPEC研究センター日本のホームページ参照http://ascj.web.fc2.com)。 個別行動計画を起草し、実施するのは官僚の仕事だが、それを見守り、達成を励ますのはABAC(ビジネス諮問委員会)やAPEC研究センター(学者)の役割である。そのためには個別行動計画をモニターしなければならない。これが依然読みにくい文書だが、今回APEC事務局の政策支援室(PSU)が付けた要約は各エコノミー3~4ページづつ、全体でも80ページで整理されて読みやすくなっている。これだけでもぜひ読みなさいと薦めた。幸い7月に開催された官、産、学の会議に招待されて報告し、産・学のAPEC首脳への提言の中で言及された。
学者の中にはボゴール目標の達成など到底無理だという人がいる。ゴールまで7年の今、こんなことを言っても何の役にも立たない。個別行動計画を持続して、できる限りの自由化円滑化を達成することである。2020年にはどうなるだろうか。予定より遅れても、その時までにはTPPもRCEP(ASEANプラスの後身)も交渉が妥結して、走り出しているであろう。TPPは自由化円滑化の高いトラック上を、RCEPはより低いトラック上を、しかし両方ともAPECが築いた高い自由化円滑化の土台に乗っているであろう。そこでわれわれはTPPとRCEPの差を吟味し、それらを拘束方式のFTAAPに収斂させる道を講ずればよい。私はそこまで見届けられそうもないが。
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