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2006-09-11 00:00
人民元改革とアジア経済
村上正泰
日本国際フォーラム主任研究員
アジアにおける経済政策上の最重要課題のひとつに人民元の改革がある。昨年7月に人民元の2%の切り上げとカレンシー・バスケット制を参考にした為替政策への移行が発表されたが、その後も硬直的な動きを示しており、更なる為替制度の柔軟化を求める声は依然として強い。
人民元の問題は、もっぱら米国との関係で議論されることが多い。そもそも人民元の改革を求める議論が急浮上したのはG7においてであり、当初はデフレ懸念を背景に我が国も積極的に議論をリードしたが、経常収支赤字が著しく拡大している米国が人民元改革を強く求めるようになり、中国を特別ゲストとしてG7に招きながら、米国を中心に中国に対する圧力を強めていった。
しかしながら、人民元改革はアジアにとっても必要であるという点に注目する必要がある。とりわけ、米国の対外不均衡の拡大を背景として、ドルが大幅に下落するのではないかという懸念が強まっており、アジア通貨間の安定性を確保していくことが不可欠ある。中国と他のアジア諸国との貿易が緊密化すると同時に競合関係も高まっている中で、ドルが大幅に下落した時に人民元だけ割安であり続けることは、他のアジア諸国にとって大きな撹乱要因となる。逆に言えば、アジア通貨が一体的に切り上がるならば、実質実効レートで見て他のアジア通貨の上昇をかなり減殺できる。
すなわち、人民元の更なる柔軟化と切り上げは、他のアジア諸国にとっても望ましいものだと言える。また、アジアにおける今後の通貨統合の可能性を考えていくうえでも、人民元の改革は重要である。ただし、同時に、急激な人民元の上昇が中国経済の成長を大きく鈍化させないよう注意が必要である。
こうした観点から、ASEAN+3などの場においても人民元改革の議論を幅広く行っていくべきであると考える。その場合、G7プロセスと同様、財務大臣会合に中央銀行総裁も参加し、サーベイランスの議論を強化していくことなども検討に値するのではないだろうか。
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