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2013-07-24 00:00
スノーデンがつきつけた盗聴問題の本質
川上 高司
拓殖大学教授
モスクワの空港内に潜伏中と目されるスノーデンは世界の注目の的となり、世界中を振り回している。7月2日、ボリビア大統領の乗った専用機がロシアから帰国中、フランスなどのヨーロッパ諸国による領空飛行禁止を理由にオーストリアに緊急着陸した。ヨーロッパ各国はその専用機にスノーデンが潜んでいると疑った。実際にはスノーデンは潜んでいなかったがボリビア大統領と南アメリカ諸国はヨーロッパに謝罪を求め、さらにヨーロッパの領空を閉鎖させたとしてアメリカを強く非難、外交問題に発展しそうである。
一方、かつてのロシアの美人スパイでアメリカから追放されたアンナ・チャップマンはツイッターで「スノーデンさん、結婚しましょう」とプロポーズした。もし本当に結婚すればスノーデンはロシア国籍が取得可能となりスノーデン亡命問題は一件落着となるかもしれない。ところがそれをフォローして「見張っているからな。ドローン(無人偵察・爆撃機)を送ってやる」(from NSA)とある。このやりとりを世界中は注目し、スノーデンの返事を息を潜めて待っている。外交問題からスキャンダルまで人々の関心を集め、今や「スノーデンを捜せ」は壮大なゲームと化しているが、スノーデン問題が示しているのは実は、機密漏洩よりもアメリカが2001年テロとの戦争を布告して以来、抱えてきた深刻な問題だ。
前ブッシュ政権はテロとの戦争を始めて以来、コントラクターへのアウトソーシングを促進した。イラクでは基地の建設はもとより洗濯や食事などあらゆることをコントラクターに任せた。その流れにのって急成長したのがXe、旧名ブラックウォーターだった。ブラックウォーターは民間警備会社で、要人の警備や補給物資の警備などを請け負っていたが、装備や腕前や仕事は限りなく軍人に近く、民間人との境界は曖昧になっていった。ブラックウォーターだけでなくダインコップスなど戦争で急成長した民間警備会社は多く、イラクでは駐留兵よりコントラクターの数のほうが多いという米軍始まって以来の事態にもなった。戦争はコントラクターなしには成り立たなくなったのである。
戦争だけでなく、実は情報部門でも同じようにアウトソーシングが進んでいた。本来なら機密情報や電子情報の収集・分析はNSAや情報部門に属する職員が行う。だが、ブッシュ政権時代にはその任務をコントラクターが請け負うようになった。国家機密にかかわる部分に民間企業が携わることの危険性は当時から指摘されていたがアウトソーシングの流れは止まらず、結局情報部門でもコントラクターなしにはやっていけないほど依存が高まっていた。スノーデンは、そんな流れの中にいた。彼が一企業の従業員であるにもかかわらず機密事項を持ち出せたのは、結局はアメリカは自らが招いたこととも指摘されている。その最も痛いところが暴露されたからこそアメリカは必死になってスノーデンを追う。
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