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2006-09-07 00:00
「浸透型戦争」時代の中国の国際的なプロパガンダ
四条秀雄
不動産業
日本は、少子高齢化とグローバリズムに適応するために軍事や外交面で対外的な力の再構成をはかる途中にあります。それは、これから10年もしない内に、日本は労働人口の不足から国内で賄う分を国内で生産できず貿易赤字になる。そして、赤字の埋め合わせは、これまでの蓄積である対外資産からの上がりに頼る部分が大きくなる。その為に、軍事・外交の力が今以上に必要になる、ということです。この動きに対して、中国は「事前に」「国際的に」「日本は再度軍国化を始めようとしている」という文脈を与えて宣伝しています。欧州では左派系のマスコミが、この筋で活発に動いています。事前に別の文脈を与えておけば、日本が何かをするたびに、中国が事前に用意した宣伝用の文脈が、補強されていく過程に変化します。これは、田中議定書を宣伝して、その後に通州事件などの挑発を繰り返して、馬鹿な日本陸軍を満州や日本本土から引きづり出した構図と同じです。
日本の財界は、現在が、冷戦が終わり、その過程でソビエトが崩壊し、中国共産党が崩壊の危機に陥った、その直後の時代にあたることを認識しないといけません。また日本政府は、老人が多くなった日本が何故軍国化する必要があるのかという馬鹿馬鹿しさをしっかりと広報していかないといけません。日本は、20年後の将来の自分に失望して若者が鬱になるような不確実性の少ない国です。日本と中国では、どちらの未来が不確実で流動的か、ちゃんと広報しないといけません。
ブッシュがテロ戦争と呼ぶものの本質は、「浸透型戦争」であること、冷戦構造下では緩衝国である地域に核兵器が拡散して、敵国を間接的に狙う。つまり、パキスタンや北朝鮮の核は中国製の設計図であり、中国の周辺国である。その位置関係を理解しないといけません。あるいは、レバノンのような緩衝国家に、ヒズボラのような武装集団が浸透する。あるいは、ネパールで王族が殺害され、毛派が勢力を拡大し、数十万のデモ隊を首都で動員できるようにまでなっている。この動きは、別の形でタイにも現象するかもしれません。あるいは、ASEANが安全保障上、米国側に寄るならば、ミャンマーが次の核保有国として登場するかもしれません。
冷戦時代の安定した構造が崩れていることを財界は理解しないといけません。こうした構造は、おそらく天安門事件を境に生じていると私は考えています。今は、中国から距離を置いて観察することです。5年間小泉首相が対中関係を悪化させたので、さあ関係改善だ、というものではありません。非常に大きな不確実な流動化が起きている。その中心である中国に長期の固定的投資をおこなうことがいかに危険かを考慮すべき時です。事業には、投資の優先順位があり、その順序を変えて、時間を取ってみるだけで良いのです。もう数年でかなりの情報が中国から出てくるはずです。
私は「ソビエト崩壊はKGBの大掛かりな仕掛けだった」という仮説を立ててみたいのです。中露の「開放政策」という明示には、「共産主義の大掛かりな巻き返し」という暗示が付き纏っているからです。中国は、今、そのモノサシに照らして一つの回答を出す時期に入っています。ロシアは、KGBの巻き返しが濃厚になってきています。プーチン政権の志向を開発独裁と考えると、今回のサハリンなどの問題は起こらないはずなんですが、それが起こった。つまり、プーチンの思考は開発独裁ではないということです。この政権はもともとKGBの傀儡政権だと噂されているので、ソビエトの崩壊そのものが陰謀・策謀だった可能性が大変高くなっています。一つの可能性として、北方領土の維持は、アメリカに「不当に」阻止された北海道領有のためだということになり、最近北方領土に行い始めたロシアの投資は、北海道侵攻のための軍事基地ではないかという類推もできます。北方領土への投資は、ウラジオストクやハバロフスクなどのインフラ投資を削ってまで行うべきものではありません。ロシアの対日政策は、極東の開発を犠牲にしているので、無能の証明であるか、北海道領有かのどちらかしか目的がないのです。財界の人々は、今が将来を見通すべき重要な局面であることを理解すべきです。ロシアの裏の意図について、欧州では盛んに出版がなされています。
靖国問題とは、要するに、中国が日本国内に張り巡らせたシステムが正しく作動するかを確かめる作業であって、日本の主要マスコミは党の方針に沿った報道をしているか、議員は党の方針にそった発言・政治活動をしているか、そういうことを北京から監視しているわけです。この問題の終局では何が起きるかというと、靖国問題が期待どおりの結果を得た場合には、日本と日本の首相への懲罰が行われます。こういう行動は、天安門事件が天皇訪中で中国側の勝利に終わった直後に、尖閣諸島の領有宣言が行われたことでわかります。そして期待通りの結果にならなければ、日本国内の工作活動の再編が行われます。正しく動かなかった人間は居なくなるでしょう。代わりに新しい人間がマスコミに登場するでしょう。日本共産党のしゃべり方がパターン化しているのを見ても分かるように、共産党の工作は教育課程がありますから、同じ教官から習った人は、雰囲気がとてもよく似ている。口調やしゃべり方が似ている人間を探せば良いということです。
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