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2013-06-14 00:00
(連載)今北朝鮮を動かしているのは誰なのか(1)
李 相哲
大学教員・教授
最近の北朝鮮を見ていると、壊れる寸前の、ブレキーの効かない暴走中の車を連想させる。運転席に座っているのは金正恩に間違いないが、問題は、金正恩は自分の意思で自分が行きたいところを目指しているのか、それとも同乗者の誰かの指図を受けているのかである。つまり、今、北朝鮮を動かしているのは誰なのか?金正日存命中は、金正日が北朝鮮をコントロールしていることは分かっていた。だから金正日さえいなくなれば北朝鮮問題は解決すると思われた。瀬戸際外交を駆使するのも、約束は守らないのも、経済より政権維持に汲汲とし、人民の苦痛を垣間見ないのも金正日であり、彼さえいなくなれば北朝鮮はまともな国になると思われたのではないだろうか。しかし、金正日が死んだ後も北朝鮮はまったく変わっていない。
金正恩が亡き父の遺訓通りに政権を運営しているからかもしれないが、不思議なことに北朝鮮は金正日亡き後何一つ変わっていないから驚く。もしかすると北朝鮮は指導者の力ではどうしょうもない何らかの「力」と「原理」で動いているのではないかと疑いたくなる。言い換えれば、金正日も金正恩もどうにもならない力が北朝鮮には存在するのではなだろうか。仮にそのような「力」や「原理」が存在するとすれば、それは何なのか。情報筋によると、2012年12月24日、金正日死亡直後から金曜会を定期的に開いている。2013年初頭からは毎週、火曜日に「火曜会」も開いているといわれる。金曜会は、安保、対外関係、火曜会は国内問題、軍事関連の話題が多いともいわれる。この二つの会議に顔を出している人間らが、金正恩政権の政策を決定しているのは間違いないが、ただ、政策決定に至るまでのプロセスは不透明なままだ。
北朝鮮体制の特性からして、最終決定は金正恩が下しているだろう。問題は、彼が、意見を収斂して、自分なりの考えをもって判断しているのか、それとも思いつきで、その場の雰囲気にながされ、子供染みた血気で「こうする」と決め付けているのかだ。筆者は後者の可能性が高いとみる。なぜなら、その確証となる動きが見られるからだ。さる12日、13日に予定されていた南北当局間会談を北朝鮮がボイコットしたのは、計算された予定どおりの振る舞いとは思えない。会談を取りやめたのは、韓国が出す予定の首席代表の格が北朝鮮代表より低い、という理由だったが、この主張に一理あると首肯する人は北朝鮮内部にもすくないかもしれない。可能性は二つ、最初から会談そのものには興味はなく、米中首脳会談を前に融和的な態度を見せびらかすためだったか、あるいは、難局打開のための突破口として韓国を話し相手として選んだかだ。
いずれにせよ、金正恩政権の主要メンバーらが、金曜日、火曜日にあつまり「どうすべきか」を話し合ったということは容易に想像できる。その証拠となるのが南北当局者会談準備のために開かれた実務者会談に、朴クネが北朝鮮を訪問したとき3日間ずっと朴クネに付き添っていた案内役の女性(金ソンヘ)を送り込んだことだ。金正恩がその事実を思い出して、このような細工を考え出したとは到底思えない。下の人間が、こうするのはどうか、と提案、金正恩が「それもいい」とゴーサインを出したのだろう。結局、北朝鮮の手の込んだ細工は通用しなかったが、このような小さな案件から大きな案件にいたるまで、「どうすればよいか?」を決める過程に、下の人間たちの意見が反映されていること、その過程に下の人間たちが、一応議論を交わしている、という事実だけは確認することができる。(つづく)
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