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2013-05-20 00:00
(連載)日・NATO共同政治宣言は対米イエローカード(1)
加藤 朗
桜美林大学教授
2013年4月15日、日本と北大西洋条約機構(NATO)の初めての共同政治宣言が安倍首相とラムスセンNATO事務総長の間で調印された。今回の政治宣言のもとになったのは、2007年1月12日にラトビアの首都リガで開かれたNATO理事会における安倍首相(当時)の演説にある。今回の政治宣言の内容は、ほぼその時の演説の内容をなぞったものであり、ある意味リガ演説を政治公約として今回NATOに提示したことになる。
共同政治宣言の肝は、「日本及びNATOは、個人の自由、民主主義、人権及び法の支配といった価値を支持している。我々は、これらの共通の価値及び各々の国民の自由及び安全を擁護する決意を有している」にある。リガでの演説でも、「日本とNATOはパートナーです。日本とNATOは、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有しています。これらの価値を擁護し、普及していくために日本とNATOが協力していくのは当然のことです」と、冒頭で首相は明言している。
今回の宣言は、その意味で、日本とNATOは同じ価値観を共有する「イデオロギー同盟」であることを確認したのである。ところで、日本とNATOが自由と民主主義の同じ価値観を有するのは、当然のことである。なぜなら戦後日米が安保条約を締結する際に手本としたのがNATO条約だからである。旧安保条約では第四条と第九条がそれぞれNATO条約の第三条、第九条を参考にして書かれている。
他方、新安保条約は前文の内容はNATOとほぼ同じである。たとえば、新安保条約では「日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し」とある。一方NATO条約は、「締約国は、民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配の上に築かれたその国民の自由、共同の遺産及び文明を擁護する決意を有する」。両条約に明記されている「民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配」の原則は、戦後一貫して日本、アメリカ、NATO諸国を結びつける共通の価値であり、三者は価値同盟を形成してきたのである。(つづく)
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