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2013-05-17 00:00
“隣の小舅”は「いちゃもん国家」から離脱せよ
杉浦 正章
政治評論家
「隣の小舅(こじゅうと)はやかましい」というが、韓国政府の“偏狭さ”にはほとほとあきれかえった。内閣官房参与・飯島勲の訪朝に難癖をつけるかと思えば、首相・安倍晋三が試乗した自衛隊機の番号731を戦中の731部隊に関連づけて文句をつける。まるで“いちゃもん国家”の様相だが、その根底にはマスコミに頭が上がらない韓国政府の体質がある。マスコミ報道が先行して、これにいちいち同調する。悪く言えば、こびを売る。そして外交に反映させる。観察すればするほど、そのパターンの繰り返しだ。韓国の新聞は、世界のマスコミの中でももっとも感情的で、公平感に欠ける傾向を特色とする。まさに葦の髄から天井を覗くような報道ばかりである。それも曲がった葦の髄だからろくろく覗けない。これで良く読者の信頼を得られるかと疑問を持つが、韓国の民族性がこれを支えているということなのであろう。最近あきれかえったのが首相・安倍晋三の自衛隊機試乗への報道だ。練習機の機体の番号が731であることに難癖をつけて、夕刊紙『文化日報』が、何と「生体実験の名誉回復狙う。軍国主義の亡霊を呼び覚ますのか」と報じた。
戦時中に日本の陸軍に存在した研究機関のひとつ満州第731部隊にこじつけたのだ。人体実験をしたと、うわさされる部隊だが、確たる証拠はない。驚いたのは一応まともな『中央日報』までが「731まで動員した首相・安倍晋三の極右妄動」と報じた。韓国の民度は高学歴でもあり、それほど低くないと思うが、この報道に民衆が踊らされるかと思うと、りつ然とする。問題は、政府側の反応だ。駐日大使・ 申珏秀(シン・ガクス)が「731部隊の被害者がどう受け止めるか日本側は考える必要がある」と発言したのだ。あきらかに国内の報道に配慮した発言であろう。しかし、満州の731部隊が韓国民を「被害者」にしたなどという事実は聞いたことがない。大使はもう少し歴史を勉強した方がよい。そもそも日本に滞在していて、国情をつぶさに見ている大使ともあろう者が、安倍がいまどき731部隊などを意識した行動をとるわけがないことを理解できないのであろうか。大使の発想で言えば9・11テロがあったからスーパーカーのポルシェ911は名称を変更しなければならないことになる。外交官として恥ずかしくないかと言いたい。
また成功裏に終わろうとしている飯島訪朝についての報道ぶりは、「米韓はもちろん、中国まで北朝鮮に制裁を加えている状況で国際協調を破った」と『朝鮮日報』が断ずれば、『東亜日報』は「北朝鮮に対する強力な制裁措置が取られている中、日本の突出した行動により、北朝鮮に状況判断を誤らせる可能性がある」と批判。『朝鮮日報』に至っては「7月の参院選をにらみ安倍首相が勝負に出たとの見方も出ている」と邪推。安倍はアベノミクスで勝負しているのであって、北で勝負などするわけがない。そして韓国政府は、やはりこうした“新聞様”の論調を反映して、飯島訪朝批判だ。外務省の報道官・趙泰永(チョ・テヨン)は5月16日の記者会見で、「日米韓の連携はもちろん、国際社会が北朝鮮への対応で緊密に連携することが重要で、その意味では今回の訪問はためにならない」と正面切って批判した。さすがにカチンときたか官房長官・菅義偉は、午後の記者会見で「言っている意味があまり分からないというのが率直なところだ」と不快感を表明。日米韓の協調を阻害するという懸念についても、「常識的にみて、国と国の関係だから、そこは当たらないと思う」と反論した。さらに報道官が「日本側から遺憾の意の表明があった」と述べた点について、「外務省の高官同士の話だろうし、本当に言ったかどうかは分からない」と疑問を呈した。
温厚な菅にしては珍しい反論だが、よほど腹に据えかねているであろうことが分かる。まさに日韓関係は亀裂が生じた状況だ。一方で中国は、飯島訪朝について洪磊報道官が16日、「朝鮮半島の緊張した情勢を緩和し、平和と安定に役立つことを希望している」と述べ、肯定的に評価している。中国にしてみれば、世界的な北朝鮮批判の中で飯島訪朝をほっとした感じで受け止めているに違いない。めずらしく大局観のある判断をしている。米国も北朝鮮政策特別代表・デービースが不満げだが、「日本無視」で事を進めればこうなることを“学習”したことはよいことだ。とにかく一連の問題で韓国の偏狭さと、マスコミの「下司の勘ぐり」がますます露呈したことになる。日本も当分このやかましい“隣の小舅”とはほどほどの付き合いにとどめ、円安で経済の対韓逆転有利を維持してゆくことだ。隣近所のいざこざにかかわずらうより、“いちゃもん”など無視して、大きく世界に目を向けた外交の展開が重要だ。世界の国々は大半が日本と友好的である。
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