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2013-05-14 00:00
(連載)自由民主主義を守れ(2)
加藤 朗
桜美林大学教授
自由民主主義が、フクヤマの言うようにある程度の財産と知識を持った中産階級の人々によって支持されるとするなら、中国で自由民主主義が根付くのは絶望的に困難である。何しろGDPで中国がアメリカを追い越したとしても、人口比から考えれば、一人当たりGDPはアメリカの三分の一という新興国のレベルにしかならないからだ。豊かな中産階級が増えるどころかむしろ、欧米や日本のように市場主義経済のグローバル化が進み貧富の格差が広がるだろう。
このことは、中産階級が支える自由民主主義が必ずしも未来の世界標準の思想にはならない可能性があるということだ。では自由民主主義に代わって何が世界標準の思想となるのか。それが何か今はまだ不明である。しかし、国力の増大とともに中国の一部で主張され始めている「イーストファリア体制」にその未来の思想が垣間見える。
現在の西洋キリスト教文明に基づくウエストファリア体制を否定する、つまり西欧流の自由民主主義ではなく自由と民主主義を共産党の独裁の下に置く反西洋の専制思想である。現代版華夷思想と言えるかもしれない。将来の世界はウエストファリア体制とイーストファリア体制の対立となるかもしれない。
フクヤマの見立てが間違っていたとしても、自由民主主義こそ世界標準の思想であることにいささかの疑いをさしはさむ余地はない。自由民主主義は、これまでドイツや日本のファシズム、ソ連の共産主義の挑戦を受け、これらを退けてきた。フクヤマが間違えたのは、中国の東洋的専制主義を見落としていたことだ。日米欧のポストモダン国家は一致協力してウエストファリア体制と自由民主主義を中国のイーストファリア体制や専制独裁主義から死守すべきだ。(おわり)
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