ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2013-05-08 00:00
進化するオスプレイ:第3世代の登場か
川上 高司
拓殖大学教授
アメリカ陸軍は、2030年代にはブラックホークとアパッチを新しいヘリコプターに交代させる。その新しいヘリコプターを開発するプログラムは「統合多機能次世代垂直離着陸リフト開発プログラム」と呼ばれ、時速426㎞という高速で航続距離が長くあらゆる作戦に対応できる能力が求められている。その陸軍の要望に応えるかのように、ヘリコプター製造会社のベル社が、次世代垂直離着陸航空機のコンセプトを4月10日に陸軍飛行協会のコンベンションで公表した。それは傾斜式ローターでV-280、「Valor」と名付けられている。VはVertical、すなわち垂直離着陸を表し、280とは280ノット(時速518キロメートル)という比類なきスピードを持つことを意味する。そしてValor(勇猛)は、アメリカ陸軍の勇猛さを表す。
ベル社は長年傾斜式ローター航空機の開発に取り組み、ボーイング社とともにV-22「オスプレイ」を実用化した実績を持つ。その蓄積を活かしてさらに進化させようとしているのだ。ベル社はV-280を傾斜式ローターの第3世代と位置づけている。同社が1960年代から開発してきたXV3とXV15を第1世代、民間用に開発した609とV-22を第2世代としV-280は第3世代とみなしている。海兵隊が鳴り物いりで導入したV-22はすでに一世代前の古い航空機になりつつあるのだ。
V-280はそのコンセプトによれば11人乗りである。V-22と最大の相違点はエンジンがローターとともに傾斜しないことである。エンジンは翼の先端に固定されていて、ローターだけが傾斜する仕組みになっている。このため構造がV-22に比べてシンプルで部品も少なく、兵士は通常のヘリコプターのように側面からの出入りが可能となっている。V-22では強烈すぎて問題となった下降気流も緩和されるという。またV-280はV-22のようにウイングを折りたたむ構造にはなっていない。これは航行距離が3889kmと想定されていて、艦載する必要がなく自己展開が可能だからである。
V-22の最大の問題は重量にあった。海兵隊が定員24人にこだわったために、V-22はエンジンが巨大化して重くなった。定員を11人にすれば重量の問題はかなり改善するであろうし、重さに起因する問題もかなり解決する。武装も可能となる。ベル社は「2017年には飛行可能とする」と意欲満々である。傾斜式ローターはそもそも陸軍が最初に開発をスタートさせたものの、その困難さとコストを考えて途中で撤退し、開発の主導権は海兵隊と海軍に委ねられた経緯がある。果たして陸軍が再び傾斜式ローター航空機に魅了されるかどうかはわからないが、XV3やXV15の開発以来多くの技術者やパイロットが夢見た傾斜式ローター航空機が理想の航空機となる日は本当に来るのかもしれない。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会