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2013-04-24 00:00
イスラエルのハッカー部隊の逆襲
川上 高司
拓殖大学教授
世界のハッカー集団「Anonymous」は、4月7日にイスラエルの銀行や学校、政府のサイトを攻撃すると予告した。これは「オペレーション・イスラエル(OPIsrael)」と彼らが呼んでいるサイバー攻撃で、ガザ地区への攻撃やネット遮断などのガザ地区へのイスラエルの弾圧に抗議する目的で行われるという。6日にはすでにイスラエルの教育省のサイトがダウン、イスラエル政府の閣僚の個人情報などがネットに流出するなど攻撃は始まっている。
これに対してイスラエルのハッカー集団が「Israeli Elite Strike Force」という部隊を直ちに結成して逆襲に出ている。パキスタンやトルコ、シリア、イランなどのイスラム諸国のサイトがサイバー攻撃を受け、さらに今回のハッカー攻撃のサイトopisrael.comがこのイスラエルのハッカー部隊に乗っ取られて逆にイスラエルの広告サイトとなっており、まさに国境なき戦争となっている。Anonymousによるイスラエルへのサイバー攻撃だとしたら今回は2度目で、一度目はイスラエルによるガザ地区への空爆が始まった際この空爆に抗議して行われた。このときイスラエル政府は防戦に成功し被害はほとんどでなかったと胸を張った。今回は防戦だけでなく逆襲に出て、サイバー攻撃に対しては徹底抗戦を宣言している。
一方で今回のイスラエルへのサイバー攻撃をしたとされるハッカー集団は実は別の集団で、「Anonymous」とはあまり関係がないとの分析もある。彼らは「Danderous Hackers」と自称するアラブのハッカー集団だというのだ。Anonymousの一部のハッカーは「今回の攻撃は無関係だ」とのコメントをしている一方で、スエーデンのAnonymousのサイトでは関与を明言しており、真実はまさにサイバー空間の中という現実をつきつけている。イスラエルは過去に、イランの核開発施設にサイバー攻撃を仕掛けて施設のコンピュータをウイルス感染させ、核開発のプロセスを遅らせたという実績がある。イスラエルのサイバー戦の能力は高く、他国のインフラをシステムダウンさせることなど朝飯前に違いない。
個人であるハッカーたちも国のシステムをダウンさせることができる。つまり個人がいとも簡単に戦争を始めることができるということだ。しかもコストはかからない。サイバー戦争は戦争が個人のレベルになるというやっかいな時代の到来を予感させる。「Anonymous」が示すサイバー攻撃は、サイバー戦争が国家対国家、国家対過激派などというこれまでの戦争や紛争の概念をいとも簡単に覆し、国家対個人や個人対個人などあらゆる形態の紛争が可能だということ、動機もまた政治的経済的という範疇に限らないということ、そして真実はサイバー空間の中にあって現実の世界では明らかにすることは困難であることを物語っている。国家を超えた対応が早急に必要であろう。
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