ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2013-04-23 00:00
改憲で「民主党分断Vs自公連立分断」論争の様相
杉浦 正章
政治評論家
暴走老人石原慎太郎の投げた「自公分断」の一石がこだまを呼んでいる。安倍が改憲の要件緩和の憲法96条改定に踏み込めば、民主党は「自公連立解消を」とくさびを打ち込む。維新共同代表・石原自身は“改憲再編論議”に火が付いて、してやったりとほくそ笑んでいるに違いない。しかし、石原は物事を“認知”できなくなってきているのだろうか。石原の前提条件を満たすには、維新が参院選で圧勝して、自民・維新で改憲の条件である3分の2議席を満たさなければならない。これはまずあり得ない。老人性視野狭窄(きょうさく)発言の勇ましさだけでは、物事は動かないのだ。石原の党首討論における自公分断発言は「あえて忠告しますが、公明党は必ずあなた方の足手まといになりますな」というもの。自民党席から「無礼だろ」「失礼だ」とヤジが飛んでも、「本当のことを言ってんだ」と譲らない確信犯だ。マスコミは忘れているが、昨年も同様の発言をして、陳謝している。石原は11月30日の党首討論で、「憲法大幅改正に幹部が反対する公明党は、あまり評価できない」「自民党が公明党と連立している限り、自民党には期待できない」と発言している。このときは、公明との衆院選選挙協力が大阪で行われている最中であり、維新は慌てて、石原慎太郎代表の名前で「公明党と憲法の考え方についての私の発言が、誤解を招いたことは大変遺憾に思います」と陳謝している。
ぼけたのか、確信犯なのか。恐らく両方であろう。この老人特有の露骨な短絡表現が、本人の目指す極右軍国主義路線の改憲にプラスに働くとでも思っているなら、世話はない。「政治家ではない」と言われるゆえんだ。まさに小説家なのだ。小説家は空想でものを書くが、政治家は実証主義が基本だ。それでは石原の言うように公明党を切って改憲が可能だろうか。筆者の予測では、参院選後の勢力分野は自民が108議席前後、維新がせいぜい10議席程度であり、3分の2議席の162議席にはほど遠い。みんなの党を加えても届かない。民主党が分裂してその改憲勢力が同調してやっと届く程度だ。つまり、改憲は公明党を切って維新と連携しただけでは無理。自、公、維、みんな、民主の一部が恐らく必要になるのだ。
恐らく石原はまだ維新のブームが続くと思っているのだろうが、もう賞味期限はとっくに切れている。維新共同代表・橋下徹が参院選に立候補すれば、ブームが再来すると思っているようだが、それでもブームは生じない。最近橋下が焦ってテレビへの露出を増やしているが、維新の支持率は減少傾向をたどっている。幹事長・松井一郎は4月22日のパーティーで「今は完全にアゲインスト。大阪以外はどこも負ける」と正直に賞味期限切れを認めた。しかし、改憲に公明党が慎重であることは確かだ。代表・山口那津男は11日の党中央幹事会で「憲法改正問題は連立政権の合意の枠外の話だ」と、強い調子で安倍の対応をけん制している。連立合意に言及したのは、改憲問題で合意を破棄する可能性を警告したものとも受け取れる。こうした動きに対して官房長官・菅義偉は21日のNHKで「自民党は公明党と連立を組んでいる。まずそこが基本だ」と、連立維持への強い姿勢を表明した。しかし、同時に菅は「96条改正に賛成していただけるなら、政党は維新だけでなく、民主党も賛成しなければダメ」と述べている。これは明らかに筆者の読みと合致している。実態はまず民主党分断による改憲実現しかないのだ。
危機感を感じたか民主党幹事長・細野豪志は「憲法改正を参院選で訴えるなら、当然公明党との連立を解消したうえでやるべきだ」と逆襲に出た。事態はまさに「民主党分断対自公連立分断の戦い」の様相を示すに至っている。公明党内の改憲論議は、自民党の目指す国防軍の創設と集団的自衛権の行使容認に至ると、皆一歩退いてしまうのが実態だ。また、憲法ばかりは「政策ごとの部分連合」は通用しない。各党とも立党の原点が、改憲か、護憲か、に集約されている傾向が強く、安倍が9条など本格改憲にまい進するなら、公明党も連立解消へと向かわざるを得まい。だが公明党は過去14年で政権参加の“蜜の味”を覚えた。これまでも自民党とは妥協で政権参加を継続してきたのだ。一方自民党は各選挙区で1万から3万票の公明票がなくては、とても当選者数を維持できない。そういう構図となってしまったのだ。両党は切っても切れない関係にあり、その原点から妥協が生ずる可能性はある。公明党内でも「96条までなら改正してもいいのではないか」との声が、幹部の中にはあるのだ。改憲の要件を3分の2から2分の1に緩和するだけで、どぎつい9条などは先送りする。この線が唯一の改憲実現へのあい路かもしれない。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会