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2013-04-18 00:00
党首討論は実績背景に安倍の圧勝
杉浦 正章
政治評論家
最後に最重要テーマで相手を追及して、時間切れに持ち込む。まさに党首討論技術の要だが、首相・安倍晋三はこの作戦を踏襲した。民主党代表・海江田万里は見事に引っかかった。0増5減区割り法案で完敗だ。アベノミクスでも実績を強調する安倍に、架空の論議で追及しても説得力はない。従って安倍は支持率と同じ7割方勝った。総じてダブル選挙などに持ち込まれてはかなわない民主党の及び腰と恐怖感が、追及の矛先を弱めた。海江田との討論時間は25分間。海江田が質問すると倍くらいの時間を取って安倍が答弁。海江田はいらついて、「質問事項だけに答えて欲しい」とクレームをつけ、「答弁が冗長だ」と噛みついたが、時間はどんどん過ぎる。ぎりぎりになって安倍が満を持したかのように0増5減の急所を突いた。「去年の党首討論で、当時の野田首相が『優先順位を考えましょう』と言って、0増5減の優先を約束した。この場で政治を動かそうではないか。国民の声は1票の格差是正を進めよだ。この声に私たちは応えていく責任がある」と噛みついた。急襲を食らった海江田は「当時の安倍総裁がした約束は定数削減だ。0増5減だけではない。0増5減だけでは、また違憲の状況になってしまう。定数の削減をやると、この国会でやるということを言ってください」と言い返したが、事実に反する上に、時既に遅しで時間切れ。
安倍の作戦は、周辺によると事前に相当練ったものであったようだ。新聞も0増5減先行処理を主張しており、世論のバックアップのある問題だ。海江田は、苦し紛れに事実に反する答弁で、その場をしのぐしかなかったのだ。つまり昨年11月の首相・野田佳彦の「やりましょう」答弁は明らかに解散の前提となる0増5減の先行処理を意味しており 、定数削減に主眼を置いたものではなかった。それを海江田は「定数削減を言ったもの」と言い募った。しかし、野田答弁後に民主党は0増5減法案を成立させており、海江田答弁の矛盾はすぐに露呈する。海江田の嘘はすぐにばれてしまったのだ。アベノミクスを巡るやりとりも、実績対架空の論理で海江田は追及し切れなかった。「大変な劇薬を日本は飲んだ。副作用、あるいは落とし穴がある」と迫った海江田に対して、安倍は「副作用と言うが、何もしなければリスクがないと思っていたら大間違いだ」と逆襲。さらに「3カ月で4万人の雇用を生み出した」「東日本大震災復興対策の原資となるJT株の価格が上昇し、4700億円に増えた」と切り返した。
安倍から「日本をおおっていたどんよりした空気が変わった」と言われては、海江田も返す言葉がない。要するに、アベノミクスが成功するかどうかが判明するのはまだ先であり、何ら打つ手もなかった民主党政権の実績欠如を背景にしていては、何を言っても説得力がないのだ。概して海江田の追及は官邸が作った想定問答の範囲を出ず、常識的であったのが安倍に余裕を持たせてしまった。とりわけ注目すべきは、底流にダブル選挙への警戒心が野党側にあったことだ。自民党筋によると、安倍は4月15日の自民党役員会で冗談めかして「党首討論はやるが、解散はしない」と奇妙な発言をしている。明らかに永田町に流れるダブル選挙説を意識して、野党をけん制したものだ。支持率70%を越える首相にダブル選挙をやられては、民主党は壊滅的な打撃どころか消滅だ。永田町の筋書きは野党の反対で参院で否決された区割り法案を、衆院で再議決して解散するという説だ。これがまことしやかに流れているのだが、実際にはまず97.5%ない。しかし、けん制にはなる。
安倍は、民主党には水に落ちた犬を叩く戦術を採ったが、維新とみんなに対しては様変わりの協調路線。一方で、維新共同代表・石原慎太郎もみんなの党の渡辺喜美も対決姿勢は全く見せなかった。渡辺に至っては「安倍内閣は長期になる予感を持っている」とまで持ち上げた。しかし、石原は、改憲に否定的な公明党代表の山口那津男が傍聴しているにもかかわらず、「公明党の党首は改憲は国民的課題ではないと発言しているようだが、この問題を乗り越えない限り、日本も自民党も再生しない。あえて忠告するが、必ず公明党が足手まといになる」と敵意丸出しの主張。あまりの暴言に自民党席から「失礼だ」とヤジが飛んだほどだ。高齢でこらえ性がなくなった老人性短絡症そのものを露呈して、「政治家ではない」(自民党副総裁・高村正彦)ことを証明する一幕であった。
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