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2013-03-28 00:00
アフガニスタンで厳しい現実に直面したヘーゲル長官
川上 高司
拓殖大学教授
ヘーゲル国防長官は就任後の最初の訪問国にアフガニスタンを選び3月8日、アフガニスタンに降り立った。共和党議員時代には4回アフガニスタンを訪れているので、全く初めての国というわけではない。だが、その訪問の意味と責任の重さは前回までとは比較にならないほどに重い。今回の訪問の目的は、2014年に向けてカルザイ大統領と話し合うことと、「アフガニスタンをより深く理解するため」だとヘーゲル長官は語り、「結論は決まっている」と、2014年の撤退は変更がないことを改めて示した。目前の目標として66,000人の駐留兵を来年初頭までには33,000人にまで減らさなければならない。ぐずぐずしてはいられないのである。
そんなヘーゲル長官を歓迎するかのように、アフガニスタンでは8日、9日と自爆テロが立て続けに起こった。8日には長官の到着後ほどなくしてアフガニスタン東部の米軍基地内でアフガン軍の制服を着た3人が戦闘車両に乗って銃を乱射し、米軍兵に4名の負傷者と1名の民間人の犠牲者が出た。米軍によれば明らかに内部の犯行でアフガニスタン軍の養成の困難さを示したようなテロ行為だった。
9日にはカブールにある国防省の敷地の外で自転車が爆発し9人の市民が巻き添えになって死亡するという自爆テロが発生した。その直後には東部のコースト地区でも自爆テロが発生し9人が犠牲になった。これらの自爆テロを受けて、10日に予定されていたヘーゲル長官とカルザイ大統領の会談は中止された。カルザイ大統領は10日、国内向けの演説でこれらの自爆テロへのコメントとして「アメリカとタリバンはなれあいの関係にある」と発言した。大統領によれば、タリバンが行うテロは米軍が駐留するいい口実となっている。タリバンのおかげで米軍は2014年以降もアフガニスタンに駐留を継続できるというのだ。
もともとカルザイ大統領は米軍による空爆や特殊部隊による拘束作戦には反対でたびたび中止を申し入れてきたが、聞き入れられなかった。大統領の発言が単なる国民の人気取りが目的ならともかく、アメリカに対して本当に不信感を持っているのだとしたらアメリカは10年以上の年月と多くの命をかけてもアフガニスタンの人々の心を掴むことができなかったことになる。ヘーゲル長官は最初の訪問国で厳しい現実に直面し、その現実はこの先の責務も厳しいものになることを暗示している。率直にそして正直に語り合うということは案外難しいことかもしれない。
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