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2013-03-27 00:00
日中韓サミットでは、役割・有用性を高める話合いを
石垣 泰司
アジアアフリカ法律諮問委員会委員
昨年9月以後尖閣問題をめぐる中国側の強硬態度により日中関係は、政治経済関係のみならず、文化的・人的交流も大きな悪影響を受け、現在なお正常化への復帰にはほど遠く、民間レベルを中心とした人的交流が多少なりとも活発化に向かっていることに安堵するにとどまる。そのような中で、時期に多少のずれはあったが、日中双方で政治体制が再編された。中国側の新指導体制の打ち出す対日政策が注目されが、知日家の王毅外相の起用は、対日政策を慎重に進めていきたいとの配意とも見てとれる反面、中国新指導者の発言や3月下旬に訪日が伝えられていた唐家せん中日友好協会会長の来日時期が新体制への移行とともに延期されたとの報道をみると安易な楽観は許されないであろう。日韓関係についても、前政権下での悪化の後を受けて、朴槿恵(パククネ)新大統領の下での改善が期待されるが、領土・歴史問題をめぐる情勢の厳しさは少しも減じていない。
その一方、マルチ・レベルで、日中韓3国が参加するASEAN+6の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の立ち上げの基本合意は生きており、日中韓FTA交渉もハイレベルで開始されたことは、ポジティブな要素である。これら両交渉の進展には我が国のTPP参加決断が良い刺激を与えたかたちとなっている。 さらに、すでに5回を数える日中韓サミットについても5月中の開催に向けて調整が行われていると報じられていることは、とりわけ朗報である。日中韓サミットは、2008年12月麻生総理の主宰の下、福岡で第1回が開催されてから、第2回目が2009年10月中国・北京市、 第3回目が2010年5月韓国・済州島、第4回目が2011年5月東京、第5回目が2012年5月中国・北京と各国持ち回りで開かれてきており、第3回会合における合意に基づき締結された国際協定により2011年9月よりソウルに3国から派遣された事務局長・事務次長以下の職員が管理・運営する常設事務局が設置されている。
日中韓サミットは、第1回会合で、定期的に会合することが決定され、年1回開催を原則とするとする旨合意されているが、その具体的期日については、ある程度時期が迫ってからその都度事前に協議して調整を経て合意されているようである。第3回会合以降は、事実上5月に開催されるようになったが、昨年9月以来の日中関係の険悪化もあり、本年の会合の是非、会合する場合、5月の何日に開催するかについて長らく協議、調整が続けられてり、開催期日について未だ正式発表はない。日中韓サミットは、第3回のソウル会議で2日にわたり2セッションが持たれた例を除き、これまでは毎回正式議題についての討議は、1日のみ、しかも概ね約2時間という短時間であるのが実体のようであるが、3国の共通重要関心事項や地域情勢に関わる最高政治指導者間の話合いの場として機能してきており、とくに第3回会合では、直前に発生した韓国哨戒艦沈没事案について、事後に「三か国首脳は犠牲者に弔意を表明するとともに、韓国が他国と共に行った調査結果を重視し、様々な関係者の反応に留意した。三か国は地域の平和と安定のため今後も緊密に連携することで一致した」と発表されたように、地域の紛争事案への対処の面でも有用な役割を果たしつつある。
しかし、本3国サミットの有用性を高めるためには、会合の開催期日を毎回その都度協議、調整を重ねるのではなく、あらかじめ原則として毎年の特定月の特定曜日等開催について3国間で合意しておき、その時々の3国間ないし地域を取り巻く政治情勢が如何に厳しかろうとも、必ず会合開催を実施するとの決意を内外に明らかにしておくことが重要である。そしてかつ、年1回開催というのも中途半端であることを免れないので、機動的に必要に応じ2回目も開催するとの会合の頻繁化、外相会議との連携等についてもあらかじめ合意をしておけば、東アジア地域における日中韓3国協力の有効性をさらに高めることになろう。来たる次回本サミットにおいては、地域情勢や個別問題のほか、上記のような日中韓サミットの開催のあり方や役割についても突っ込んだ話合いおよび基本的合意が行われるよう強く期待したい。
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