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2013-03-21 00:00
老若中国人の対日観の相違
中山 太郎
団体客員研究員
久しぶりに中国を訪問し、いろいろな人々と会ってきた。年代によって、その対日観が違うことに強い印象をもったので、その代表的な発言を皆様に紹介したい。
82才の老歴史学者いわく「中国は、義和団事件などを反帝国主義運動としていまだに賞揚し、教科書などで持ち上げている。文革期の暴力肯定論を未だ続けているのだ。義和団事件当時、世界情勢を理解できず、皇帝も、官僚もだが、一般大衆がおろかだったのだ。それを、自分たちだけを善として、相手のみを叩くのは誤りだ。我われ中国人が、おろかだったのだ。それを、狭い民族主義、愛国主義に固執し、暴力を肯定するのでは、中国の前途は暗い。自分は、最近大ぴらに、言いたいことは言うようにしている。党も、直接には、何も言って来なくなった」。
32才の新鋭若手歴史学者いわく「日本、それにロシアは、領土的野心を燃やし中国へやってきた。それに引き換え、英・米には、そうした野心はなかった。同じ帝国主義でも日本、ロシア、特に日本は非常に悪い。かつて、中国政府が日本に対して、軍人と一般大衆を分け、前者があくまでも悪く、後者は我々と同じ被害者だったとしたが、これは間違いだった。日本人は皆悪い。日本人は、東京大空襲や広島、長崎の原爆などを持ち出して、被害者ぶるが、先に重慶大空襲をやったのは、日本だ。その天罰を、受けたのだ。重慶の被害は、日本のそれと比べ物にならないほど大きい」。
歴史を客観的に見れば、米国が、中国に対して領土的野心をもち、領土を得ようと試みたのは明白だ。成功しなかっただけだ。そのことは、欧米日の学者、例えば、川島真東大准教授などが、その著書のなかで触れている。英に関しては、香港領有は明白な事実であり、それだけでも領土的野心がないとは言えない。私の結論としては、戦争を何らかの形で直接経験している年代は、かえって考え方が冷静で、理性的で、日本への憎しみも薄いが、戦争を、映画、テレビそして愛国主義教科書で学んだ年代は、考えがより過激で、日清戦争以来の屈辱をこの際晴らそうとの念が強い。これに、中国に寄り添う西側のメディアや人権主義者などが加担している。
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