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2013-03-14 00:00
アフガン負担で米国に振り回される欧州
川上 高司
拓殖大学教授
2月21日、22日にかけてNATOは会合を開き、2014年後のアフガニスタンでの活動をどうするかについて話し合った。だが、合意どころかスタートの時点ですでに座礁してしまった船のように話合いは頓挫してしまい、唯一合意に達した点はどの国も「必要最小限度の関与」で済ませたいと望んでいるという点だった。ことの始めは2月初旬に、アメリカのアフガニスタン担当の特別補佐官のダグラス・ルートが「2014年以降の米軍の役割」についてNATO諸国に説明を行ったことだった。
ルートによれば、米軍は2014年以降は約1万人の駐留規模にする。そのうち5000人はアフガン軍の養成のための人員で、残り5000人は対テロ対策の部隊関係だという。さらに米軍は医療支援ヘリの運航をとりやめるとも伝えた。この米軍の説明にNATO諸国はとまどった。NATOの2014年以降の役割はアフガン軍の養成に限定することは決まっている。問題はそのための人員規模で米軍が5000人しか教官要員を出さないのならヨーロッパは1万から1万5000人の軍を出さなくてはならないことになる。
すでにドイツもフランスもイギリスもアフガニスタンから撤退表明をしている。いまやどの国の世論もアフガニスタンへの関与には否定的で、どの国も軍を駐留させることに世論の支持を得ることは難しい状況にあり、最小限の派兵を望む各国政府にとっては困難極まりない課題を課せられたようなものである。さらに予算の分担も問題になっている。ヨーロッパはアフガン軍の規模を28万人前後と考え年間40億ドルという予算の負担配分の話合いをスタートさせていたが、どの国も予算の負担は軽くしたいのでその話合いがそもそもすでに厳しいものだった。ところがアメリカは35万人という規模のアフガン軍を考えているとわかり、予算の増加は避けられずますます厳しい予算問題の話合いにNATOは直面することになる。
アフガニスタン戦争はそもそも米軍が始めた戦争だった。その後米軍だけでは手に負えず同盟国のNATOに支援を求め、NATO諸国はそれに応えた。そしてこの先もしばらくはアフガニスタンへの支援を続けなければならない。それなのに米軍が予算削減で退きつつありより重い負担が同盟国にまわってこようとしている。同盟国に対して負担を求めるならオバマ大統領自身が真摯な説明を尽くさなくてはヨーロッパは納得しないだろう。
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