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2013-03-12 00:00
(連載)「ケリー外交」は大丈夫か?(2)
高畑 昭男
ジャーナリスト
日米同盟に関する認識も問われよう。4年前、同じ公聴会で前任のクリントン氏は日米同盟を「東アジアの平和と安定の礎石」と位置づけた。ケリー氏はアジア太平洋の平和と安全を守る公共財としての同盟ばかりか、日本の役割にも触れなかったのは、残念としかいいようがないことだった。2極世界の下で米ソが対峙した冷戦時代とは異なり、21世紀の米中関係がはるかに複雑であることは言うまでもない。中国は確かに単なる「敵対国」とはいえない。北やイランの核問題や環境、エネルギーなどの地球規模課題でも、国際社会は米中の相互協力を必要とし、経済・通商面の米中相互依存関係も深まる一方だ。
だが、そうした大国であるからこそ、責任もまた大きい。中国が自らを律することができないなら、国際規範を無視した行動や危険で挑発的な行為を抑止する態勢や枠組みが不可欠だ。クリントン氏が着手した包囲網づくりもそうした意図に基づく戦略といえる。だが、対中戦略をめぐっては、政権1期目でも「牽制・抑止」を重視するクリントン氏らと、「協調と妥協」を重視するバイデン副大統領らの間で路線対立があったという。バイデン氏は「議会の外交通」とされるケリー氏を国務長官候補に強く推薦したとされ、ケリー外交が対中協調優先に流れやすい懸念はさらに深まる。
それでなくとも、米財政の危機状態は続く。議会で新たな合意がなければ、3月には国防費を含む強制削減措置が始まり、退任目前のパネッタ国防長官も「西太平洋で海軍作戦活動が最大3分の1削減される」と警告したほどだ。ヘーゲル次期長官の指名承認の難航や国防費の削減圧力を考えると、米軍の前方展開態勢は現状維持すら難しくなりかねず、心配の種はつきない。中国もさぞやそれを期待していることだろう。
尖閣問題で対日攻勢が強まる中で、米国では中国人民解放軍の部隊が米政府・企業へのサイバー攻撃に関与していると名指しで報じられ、衝撃を広げている。オバマ2外交を担う人々にとって、海洋、サイバー空間を問わず触手を拡大する中国軍の危険な行動を直視し、「抑止」と「協調」の正しいバランスを堅持する認識をもってもらいたい。地域の平和と日本の安全を守るためにも、同盟国・日本は米国の新外交・安保チームと緊密な協議と情報共有体制を築きたい。必要な対抗措置も含めて、中国に正面から対応していくことが必要だ。同盟強化の作業もそこから始まる。(おわり)
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