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2013-02-26 00:00
「15年デフレ」の牙城を変える日銀総裁を
田村 秀男
ジャーナリスト
安倍晋三内閣による日銀総裁人事が大詰めを迎えている。最適任者は、誰か。まず、黒田東彦アジア開発銀行総裁。安倍首相の経済指南役の浜田宏一エール大学名誉教授が推す候補者リストにも入っているが、クリアすべき課題はいくつかある。一つは、日銀による外債購入に反対していることだ。自民党は衆院選挙時の公約で「政府、民間、日銀」共同での外債購入基金創設をうたったが、黒田氏では「公約はどうした」と批判されかねない。ただ、外為市場介入は「人為的な円安誘導」として国際的に批判を招きかねず、基金構想は棚上げすべきかもしれない。少なくても外債購入基金を今、急ぐ必要はないだろう。
問題は外債購入反対の不純とも見える動機にある。1997年6月の日銀法改正(施行は翌年4月)時、外為市場介入は財務省の専管であり、日銀はその「事務取扱業務」、つまり財務省の下請けに徹する裏合意が成立した。現在、100兆円に上る外為特別会計は財務省国際局の権益同然になっている。財務省自身は国民貯蓄を吸い上げて米国債など外債を購入している。日銀による外債購入に反対するのは自分の縄張りを侵されたくないからだろう。岩田一政日本経済研究センター理事長は興味深いことに外債購入基金構想の発案者である。黒田氏とは対照的な存在だ。しかし、自民党内からは異論も多い。日銀副総裁時代の2006年3月、量的緩和解除に同意し、日銀のデフレ容認路線に加担した、と批判されている。やはり決め手に欠ける気がする。
学習院大学の岩田規久男教授は一貫したインフレ目標設定論者で、インフレ率をゼロ以下でよしとする「日銀理論」に対抗してきた点で資格十分だ。しかし、アカデミズムの世界で過ごしてきたことから、日銀という巨大組織のマネジメント能力に疑問を抱く向きもある。同じくインフレ目標論者とされる伊藤隆敏東大教授の名も挙げられるが、岩田規久男教授に比べデフレに対する危機意識に乏しい。何しろ、東日本大震災後に同僚の伊藤元重教授(最近になってやっと「デフレの恐怖」を言い出した)と連名で復興財源のための消費増税の署名を呼びかける論文を日経新聞に掲載したが、デフレについてひと言も言及していない。
中原伸之元日銀政策委員会審議委員は長く東亜燃料工業(東燃ゼネラル石油の前身)の社長を務めた経営者の経験があるうえに、日銀による01年3月からの量的緩和政策を主導した実績はぬきんでている。行動力ある竹中平蔵慶応大学教授(小泉純一郎内閣時代の経済財政担当相)、さらに武藤敏郎大和総研理事長ら財務次官OBの名も依然挙がっている。総裁適任者の要件は日銀という「15年デフレ」の牙城をどう変え、日本経済を健全なインフレ率のもとにどう成長させられるかどうか、である。
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