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2013-02-19 00:00
(連載)日銀総裁候補と財務官僚の利権(2)
田村 秀男
ジャーナリスト
日銀法改正を踏み台に、財務官僚はちゃっかりと利権を大幅に拡張した。約100兆円に上る政府の外貨資産を一手に管理、運用する財務省の国際金融局はいわば巨大な投資ファンドの支配者である。というのは、財務省は円売り・ドル買いのため外為市場に介入する際、政府短期証券(FB)を発行し、民間金融機関から円資金を調達する。FBは償還期間が3カ月と短いために、絶えず借り換えのために巨額のFBを発行する。そのFBの売買で民間金融機関は手数料収益を挙げられる。財務官僚として、これらの金融機関は絶好の天下り先になる。また、豊富な外貨準備を運用する国際金融局系の官僚は国際通貨基金(IMF)を中心とする国際金融コミュニティーで大いに歓迎されるようになる。
一方、日銀のほうは財務省のドル買いのために資金提供を強要されることは実質的になくなり、「中央銀行としての独立性」が確保されたと大喜びである。財務省は介入資金調達のためにFBを発行するのだが、旧日銀法の時代はそのFBを日銀に直接引き受けさせることが多かった。その場合、日銀はFBの市中売却によって資金を吸い上げる「不胎化」政策をとるが、財務省の了解を経なければならなかった。
日銀法改正後は、財務省が円売り、ドル買い介入の業務を日銀に委託するだけで、財源は日銀資金ではなくFBに限定される。FB発行による資金調達が事務的に完了するまで日銀資金が利用されるが、日銀がFBを直接引き受けることはなくなった。さらに、日銀による外為取引は事務に限定されるので、外債を保有することは意味をなさなくなり、保有外債の大半は財務省に移管された。
こうして、財務省は外為利権、日銀は独立性を得て、両者がすみ分けてきた。そこに一石を投じたのが、「岩田提案」であり、それをベースにした「自民党公約」である。そんな中で、財務・日銀のすみ分け路線に沿った黒田氏が日銀総裁最有力候補に浮上し、岩田一政氏がその後を追う。最終的に日銀次期総裁の座はどちらの候補に回るのか、あるいは第三者に転がり込んでくるのか。(おわり)
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