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2013-02-18 00:00
(連載)日銀総裁候補と財務官僚の利権(1)
田村 秀男
ジャーナリスト
4月の任期満了を待たずに、2人の副総裁の任期が終わる3月19日に辞任する白川方明日銀総裁の後任に、黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁が有力候補として浮上している。確かに、黒田氏は安倍晋三首相や麻生太郎財務相が公の場で挙げてきた「日銀総裁の条件」に合っているように見えるのだが、一つだけ気になる点がある。自民党は衆院総選挙の公約で「政府、民間と日銀による基金を創設し、外債を購入する」とうたっているが、黒田氏は、日銀による外債購入は外為政策だとして明確に否定しているのだ。
安倍内閣が自らの公約に背く考えを持つ人物を日銀総裁候補に選ぶようだと、せっかく外為市場や株式市場を先導している「アベノミクス」への信頼度が揺らぎかねない。安倍首相が黒田氏を任命する場合、公約で掲げた基金構想に協力することを条件にすべきだ。日銀による外債購入については、黒田氏と同じく日銀総裁候補の一人である岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)が2011年11月に提起した50兆円規模の「金融危機予防基金」の創設がきっかけになった。
岩田案は日銀が金融の量的緩和政策の一環として円で外債を50兆円購入し、損失が発生すれば財務省が負担する仕組みだ。自民案では政府、民間も加わる。岩田案に対し、財務省は強く反対し、日銀も財務省に同調してきた。反対の根拠は現行日銀法第40条である。第40条では、外為の売買は「国の事務の取り扱い」に限られ、日銀自身の裁量による外為の売買は禁じられている。つまり、外貨準備を管理する財務省が外為の全権を掌握している。
日銀は単なる財務省の下請け機関に過ぎないという位置づけである。この条項は1997年6月に成立した改正日銀法に盛り込まれたが、その条文案を日銀に提示し、日銀に丸のみさせたのが当時の財務省国際金融局長の榊原英資氏(青山学院大学教授)で、榊原氏の後任が黒田東彦氏である。改正日銀法が98年4月から施行されると、外為の売買は財務官僚の縄張り、専権事項となり、日銀は外債の保有からも手を引くことになる。日銀は98年3月末の外債保有額を1838億ドルから翌月末には一挙に272億ドルまで減らした。全日銀資産に占める外債の保有シェアは95年末で24.7%だったが、現在では3~4%に過ぎない。(つづく)
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