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2013-02-01 00:00
(連載)破綻した日銀理論(2)
田村 秀男
ジャーナリスト
デフレやインフレとは「予想」によって決まる。予想を決定づけるのは財政政策でも産業政策でもなく、規制緩和でもない。金融政策である。物価がマイナスで続くという予想が続く限り、消費者は消費を手控え、企業は新規や増産のための設備投資を見送り、手元の資金を現金、銀行預金や国債などで運用する。企業の手元の余剰資金(「内部留保」)は昨年9月末で約273兆円、10年間で5割も増えた。カネが実物経済に流れ込まないから、不況が慢性化する。物価は過去14年間で数%しか上がっていないが、GDPは1割、サラリーマン収入は15%も下がったのである。
インフレ目標とは、このデフレ予想を逆転して全般的に物価が上昇すると予想させるための手段で、最も効果的なのが金融政策である。まず中央銀行がお札を継続的に大量発行して、金融市場に流し込む。資金はまず不動産や株式市場に流れ、資産価格を引き上げる。円を大量発行するのだから、外国為替市場で円が売られて、円安となり、輸出企業をはじめとする企業収益の好転予想が広がって株価が上がる。
現実に「安倍発言」を受けて市場はそう反応している。あとは、日銀がインフレ目標達成まで大胆な緩和策を続けるとコミットメントすることで、円安・株高が定着していく。そのプロセスの中で、消費者心理の好転や企業の設備投資意欲が回復し、徐々に実物経済が上向いていく。その前提になるのが「インフレ目標」で、実際にインフレ率が2%になるのではなく、そう思わせることが目標のポイントである。
ところが白川氏は、「金融政策だけではデフレから脱出できない」という趣旨の発言を繰り返し、物価予想に対する金融政策の効力を認めようとしない。それは、中央銀行が金融政策の効果を否定するなら、日銀は不要、つまり自己否定に通じる。筆者は、安倍氏が日銀総裁になったほうが適切だと思えるほどだ。安倍氏はだれを白川氏の後任に選ぶだろうか。(おわり)
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