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2013-01-30 00:00
日本から米国との同盟強化をリードしたい
高畑 昭男
ジャーナリスト
オバマ米大統領2期目の就任式が21日行われたが、1期目のような晴れやかさと歓迎ムードはなかったという。それもやむを得ないだろう。ただでさえ、「財政の崖」の回避へ向けた議会折衝は難航を極めている。2期目の主要課題という移民やエネルギー政策の見直しもメドが立たない上に、降ってわいたようなアルジェリアの人質テロ事件も含めて、外交課題もめじろ押しの状態だ。オバマ氏は、頻発する銃乱射事件を受けて包括的な銃犯罪規制策を発表したが、これも野党や圧力団体の厳しい抵抗が予想される。それやこれやで、最近のオバマ氏は草の根保守や共和党への説得や忍耐の努力もつきて、キレてしまった様子がうかがえる。
年明け後初の記者会見では、共和党の姿勢を「ばかげている」と罵るなど、反対意見に聞く耳を持たぬかのような態度に、米メディアからも「独りでタンゴを踊るのか」と疑問が寄せられているという。もちろん、オバマ氏の不満はわからないでもない。第二次大戦後、再選された大統領はオバマ氏で7人目だが、2期目をハッピーに過ごせた人はそう多くない。ニクソンはウォーターゲート事件のために2期目就任から1年半余で辞任に追い込まれ、レーガン、クリントンもスキャンダルに悩まされた。そうした例は別としても、2期目の大統領は再選によって国民の信任を獲得した「政治的資産」の大きさに期待をするあまり、野心的な業績を狙いがちだ。
だが結果的に、心ならずもそれを使い果たして、さみしい終末を迎える例も少なくない。ブッシュ前大統領は2期目に「政治的資産を有効に使う」と宣言したが、イラク戦争処理でそれを使い果たし、他の政策には力が及ばなかった。退任直前の支持率が34%と、ニクソン(24%)に次いで低かったのもそのためだ。オバマ氏の場合も目標は盛りだくさんだが、そこへ向かう前に議会との対立で政治的資産を使い果たす恐れが指摘される。しかも内政・外交で先立つものはおカネだ。まずは「財政の崖」を乗り越えないことには、どの政策も動かない。キレてしまいたい境遇には同情できる。中でも、日本にとって心配になるのは、中国の軍事的台頭に取り組む「アジア太平洋シフト」外交の行方だ。2月末までに債務上限問題が解決されなければ、国防費などの強制的削減が現実味を帯びるようになる。加えて、新外交・安保チームの中核に指名されたケリー国務、ヘーゲル国防の両次期長官は、まだ上院の承認が得られていない。国家安全保障会議(NSC)の陣容もこれからだ。
つまり、これから2月~3月にかけての時期は、外交・安保政策で危険な「空白状態」を生みやすいといえる。ということは、中国にとっては尖閣諸島への攻勢を強める「絶好期」と映るかもしれない。だからこそ、オバマ氏2期目を迎える日本は、抑止の空白を生じさせないように備える必要がある。例えば「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の見直しが日米事務レベルで始まったが、集団的自衛権の問題も含めてこれを加速させる必要がある。普天間飛行場移設など在日米軍再編の履行、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加、インドや豪州などとの連携など、同盟の連帯と信頼強化へ向けて、日本が米国を助けて積極的に動ける分野は少なくない。従来の日本政治のように、「アメリカの動きを見てから」では遅い。オバマ氏1期目の3年間、日本は民主党政権下の迷走で米国に大きな借りを作った。その借りを返すためにも日本から同盟強化をリードしていきたい。
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