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2013-01-17 00:00
最強の四人組で固めた米外交陣
川上 高司
拓殖大学教授
オバマ大統領2期目の国務長官は、ジョン・ケリー上院議員が指名された。続く国防長官は誰が指名されるのか注目の的だったが、年が改まるとチャック・ヘーゲル元上院議員の指名がほぼ確実となった。ヘーゲルの指名に対しては、ヘーゲルがイランに対して柔軟路線であること、ハマスとの対話を主張していることから共和党保守派やイスラエルロビーの猛反発が起こっており、指名承認が危ぶまれているとの報道も見られる。だがそれ以上に支持する声の方がはるかに強い。
元国家安全保障補佐官の重鎮ブレント・スコウクロフトをはじめ、ブレジンスキー、カールッチ、オバマ大統領のアドバイザーだったジェームズ・ジョーンズがそろってヘーゲル支持を堂々と打ち上げた。さらには中東各国大使を歴任したライアン・クロッカーをはじめとする元大使たち、元CENTCOM将軍たちからも支持が厚くベトナム戦争経験者ゆえに軍 部の信頼も獲得している。また著名なジャーナリストたちもこぞってヘーゲルを支持している。まるで大統領候補のような華やかで熱い支持はヘーゲルの人望の厚さを語っている。
ヘーゲルは1996年にネブラスカ州の上院議員に当選して以来、2008年まで議員を務めた。実は、ケリー、バイデン、オバマの4人は3年間と短い期間だが任期が重なっており、2005年から2008年までは上院の外交委員会で一緒だった。外交委員会にはさらに小委員会があって担当が分かれている。2005年から2006年の間は、東アジア・太平洋小委員会ではヘーゲル、バイデン、ケリーは一緒だった。同時にヨーロッパ小委員会でヘーゲルとバイデンは一緒だった。更に世界経済貿易などの小委員会ではケリー、ヘーゲル、オバマが一緒だったし中東小委員会ではヘーゲルとオバマは一緒だった。
2007年から2008年までは4人はやはり外交政策委員会に属していて、ヘーゲル、ケリー、オバマは東アジア太平洋小委員会に属していた。経済貿易などの小委員会でもヘーゲル、ケリー、オバマは一緒だった。つまり第2期目に重視される東アジア・太平洋地域の外交政策に4人が精通し、経済政策にはケリー、オバマ、ヘーゲルが豊富な知識を共有しているのである。この外交政策委員会同期で固めた政権によってオバマの2期目の外交政策は運営される。気心が知れている4人がまさに1枚岩となって外交政策が進められるならば、手強い外交が太平洋で展開される可能性は大きい。外交「四人組」の誕生によりオバマが2期目の外交政策にかける意気込みの強さが表れた閣僚人事である。
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