ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2013-01-09 00:00
(連載)「宇宙の平和利用原則」は誰に向けられたのか(1)
鈴木 一人
北海道大学大学院法学研究科教授
これまで日本の宇宙政策は1969年の「宇宙の平和利用原則」を定めた国会決議によって、防衛省・自衛隊が宇宙システムを開発・保有・運用・利用することは認められておらず、1985年のいわゆる「一般化理論」によって、商業的に提供されるものと同等の機能を持つ宇宙システムであれば利用することが可能とされてきた。
その後、2008年に宇宙基本法が策定され、国会決議の定義が緩められ、「日本国憲法の平和主義に則り」「国際の平和と安全および我が国の安全保障」に資する宇宙開発をすることが可能となった。ここで思ったのが、これまでの「宇宙の平和利用原則」というのは一体どこまで世界的に理解されてきたのか、ということである。いろいろな文献に目を通していると、しばしば「日本の宇宙開発は将来的に軍事利用を目的としたものである」という、あまり根拠が定かでない決めつけに基づいて書かれているものが多く、かなり辟易してくる。
これは、冷戦期から現在に至るまで、宇宙開発が軍事利用と分かちがたく発展してきた結果であり、とりわけアメリカ、ロシア、中国などの論者はこうした「宇宙=軍事利用」を疑うことなき前提として捉えている傾向がみられる。宇宙政策の専門家であれば、日本の状況に対する理解を示すものも少なからずあるが、とりわけ軍事戦略や軍事技術開発を専門とする人たちから見ると、日本の宇宙開発は表面的には平和利用を謳っているが、その本心には軍事利用があると見る人が大半である。
このこと自体は特に驚くことでもないのだが、私が気になったのは、果たして日本の「平和利用原則」は誰に向けられたものだったのか、ということである。宇宙政策に詳しい人なら改めて言う必要もないが、1969年の国会決議が採択された背景には、アメリカのロケット技術を導入して日本の国産ロケットを作るという話があった。アメリカのロケットは軍事的な目的で開発された技術だから、日本政府も軍事的な目的で技術導入をするのではないかといった疑いがあり、そうではないことを証明するために、全会一致で衆議院で採択したのが「宇宙の平和利用原則」決議である。(つづく)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会