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2012-12-25 00:00
オバマ2期政権の閣僚人事に注目する
川上 高司
拓殖大学教授
オバマ政権の閣僚は2期目は大きく顔ぶれが変わる。クリントン国務長官は引退を表明しているし、パネッタ国防長官も高齢のためか留任は否定している。留任するであろうと思われていたCIAペトレイアス長官はスキャンダルで失脚してしまった。また、ガイトナー財務長官もすでに辞意を表明している。主要な閣僚が入れ替わるとあって、後任人事には注目が集まっている。
国務長官の最有力候補といわれていたスーザン・ライスは共和党に不評なため議会での承認で紛糾が予想されることを見越してか、ライス自身は指名を辞退すると申し出ている。そのためさっそく次の候補としてジョン・ケリー外交委員会委員長がリストのトップに躍り出た。外交委員会での長年の経験からいえばケリーは申し分ない。ただ、ケリーが長官となると民主党は上院の議席をひとつ失うことになる。国防長官の候補には、ミッシェル・フロノイの名が早々から挙がっている。フロノイは政策担当次官を務めたこともある才女で、彼女が国防長官となれば史上初めての女性国防長官となる。
フロノイと並んで有力視されているのが、元共和党議員のチャック・ヘーゲルである。彼は共和党の中でも一匹オオカミのように独特の意見を持っていた。ブッシュ政権時代にはイラク戦争を批判し、2007年のイラクへの増派に猛反対して2008年の大統領選挙ではオバマ支持へと転換した。共和党だったとは思えないほどリベラルな思考の持ち主で、外交政策に関して言えばオバマ大統領と近い考え方をする。そのうえ副大統領のバイデンとはかつて上院外交委員会で一緒だったこともあり親しい間柄である。ヘーゲルがオバマの外交政策を支持している最大の根拠は、「オバマ大統領はイラクから撤退し2014年にはアフガニスタンからの撤退も完了させる。そしてさらなる戦争へと国を駆り立てることをしない」からだと述べている。ベトナム戦争の退役軍人としての経験から出た言葉は重い。
国防総省は軍をかかえているので長官と軍部との関係が重要である。ヘーゲルなら退役軍人であることから軍からの支持はとりつけることができるだろう。また、ロバート・ゲイツは共和党ながら民主党のオバマに仕えたという実績があることから党派にこだわらず、現実的な判断でオバマ大統領がヘーゲルを指名する可能性は高い。あるいはヘーゲルはCIA長官というサプライズもあり得る。アメリカの国務長官や国防長官は大統領の外交政策に影響を与えるし、いくらアメリカが普通の国になったとはいえ世界に及ぼす影響力はまだまだ強い。誰が就任するのか、決まるまで世界は落ち着かないのである。
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