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2012-12-12 00:00
(連載)いよいよ日中武力衝突か(2)
加藤 朗
桜美林大学教授
日本人の多くが誤解しているが、中国にとって尖閣問題は水産物や海底油田などの資源問題などではない。台湾の領有問題に絡んで戦後の国際秩序に関わる問題であり、同時に第一列島線以西を中国の影響下に置くための極めて重要な安全保障上の問題である。さらに中国人のこれまでの日本に対する恨みを晴らす絶好の機会でもある。何しろ中国は日本との戦いで元、清、日中戦争(共産党軍、国民党軍ともに)で日本に一度も勝利したことはない。さんざん戦争をしたうえで勝率がほぼ互角になったから独仏は和解できた。中国(特に共産党)が日本に一矢報いないうちは、すんなりと日中友好とはいかないだろう。
これまでも中国は国境紛争や領土問題で平和的に解決した例はない。中印、中ソ、中越、また小規模ながらフィリピンとも小競り合いを起こしている。さらに言えば尖閣問題はもはや単なるに日中間の領土問題ではない。米中間のアジア・太平洋をめぐる覇権闘争の発火点になっている。尖閣諸島を占領すれば、台湾を含め第一列島線以西に米軍が展開するのは今以上に困難になる。問題は、尖閣問題で日米安保が発動されるかどうかである。
米中の関係者の発言を聞くと、仮に発動されたとしても、一般に想像されているのとは異なり、米軍が直接戦闘に加わるのではなく、あくまでも情報の提供や後方支援に限られるだろう。アーミテージやグリーンら知日派は安全保障に対するもっと積極的な役割を日本に期待している。日本が積極的に取り組まない限り、米国が日本に代わって日本の安全を保障するなどということはない。尖閣諸島で武力紛争が起こっても、米国民は米軍が日本に代わって中国と戦うことなど決して容認しないだろう。日中間で限定的な武力紛争が起きれば中国は日本をファシスト、軍国主義と米国での宣伝戦を繰り広げるだろう。
中国は尖閣問題で米国に中国をとるか日本をとるか踏み絵を迫っている。それが楊潔チ外相の真意であろう。12月に入り米上院は4日の本会議で、沖縄県・尖閣諸島を日米安全保障条約の適用対象とすることを明記した2013会計年度(12年10月~13年9月)国防権限法を可決した。米国は日本をとると中国に回答した。とはいえ、米国の本気度がどの程度か依然疑わしい。中国の侵略があるとすれば、米国大統領就任前、日米韓の指導者の交代の時期ではないか。これが大ぼらとなることを祈る。(おわり)
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