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2012-12-12 00:00
立地選挙区の自民圧勝で原発論争は勝負あった
杉浦 正章
政治評論家
「原発戦争」とも言うべき国論分裂の総選挙は、再稼働とベストミックスを主張する自民党の圧勝に終わる見通しとなった。公示前の世論調査より終盤の調査の方がさらに自民党が有利となる傾向を見せ、衆院で常任委員長のすべてを確保する絶対安定多数269議席を突破して、300議席に迫る勢いだ。筆者の指摘したバンドワゴン(勝ち馬)効果が続いており、このまま投票結果となって現れるだろう。今日は、各紙が気付いていないことを書く。着眼点は、もろに脱原発が争点となった原発立地39選挙区の分析だ。筆者の予想では、少なくとも79%以上の選挙区で自民党が勝利を占める流れだ。朝日、毎日、東京、TBSなど脱原発をあおったマスコミは、今後“敗戦”の虚脱感に覆われ、反省を迫られるものであろう。一番激しく「原発戦争」が展開されたのが、原発立地39選挙区だ。筆者が各選挙区ごとに分析した結果、既に自民党が31議席を確保しており、民主党はわずか4議席にとどまっている。民主党優勢は、女川原発の安住淳、福島の玄葉光一郎、大飯の前原誠司ら党幹部で、原発あるなしにかかわらず当選が見込める候補だ。大接戦が柏崎・刈羽の新潟5区で展開されているが、田中真紀子危うしの見方が強い。この立地選挙区での自民党圧勝が物語るものは、朝日を中心とする「東京目線」での脱原発論議がいかに民衆に根ざしておらず、上滑りのものであったかを物語る。地方だから分かっていないなどと言ってはならない。原発と常に接してきた地域住民は、日常習慣的に国家とエネルギーを考える大局観が身につき、にわか仕立ての原発ゼロの主張などには動じない傾向を持っていたのだ。
もちろん原発の安全性への信頼も高い。原発に生活がかかっていることも否定は出来ないが、生活がかかっているのは国民全体も同じであろう。空理空論で、しかも広島、長崎の職業的な原爆反対イデオロギー闘争の色彩も混入した「原発ゼロ」派は、かくして大敗北を喫することとなったのだ。当の朝日の分析でも、民主党や日本未来の党など「脱原発」を公約に掲げる党の苦戦が目立つ。超党派の「原発ゼロの会」や脱原発基本法案の賛同者に名を連ねた前議員で、朝日新聞の調査で優勢だったのは1割程度にとどまるという。その朝日が最後の頼みとしたのが、原子力規制委員長・田中俊一による「敦賀原発稼働認めず」の判断だ。朝日は「活気づく脱原発政党」と見出しを取って、「衆院選で脱原発を訴える政党は活気づいた」とあおった。しかし、この“作文原稿”は何か空しいものを感じさせる内容であった。なぜなら、自民党圧勝に何の影響も出ていないからだ。読売の調査では比例区の支持率は、自民党が比例選投票先で大幅に上昇し、無党派層でもトップの優勢を維持している。脱原発派は「活気づく」にはほど遠いのだ。おまけに規制委員長の判断は、逆に「活断層が走っていない原発は再稼働する」ことへの布石ととらえることが出来る。委員長は“踏み絵”を演じたのであり、そのまま受け取る朝日は、読みが浅いのだ。1つ、2つの原発は、どうでもいいのだ。
脱原発政党も無力感にさいなまれている。官邸筋は「もう勝負あっただ。身辺整理だ」と、正直に“落城”を認めている。夏には原発再稼働に動いた野田も、急転換して節操のない原発ゼロを主張したが、まさに糠に釘の効果しか生まれていない。「原発フェードアウト」の維新副代表・橋下徹に至っては、早くも「維新は完全に負けている。自民党が圧勝だ」と、敗北宣言をする始末。石原慎太郎の出馬にもかかわらず、東京では壊滅的敗北だ。小沢一郎の背後霊が見える薄気味悪い日本未来の党代表・嘉田由紀子は、いまマスコミの“よいしょ”と現実との乖離(かいり)にやっと気付いて、内心りつ然たる思いであろう。筆者が自民党の完勝を強調するのは、他の全党が「脱原発」を前面に押し出した選挙をしたにもかかわらず、自民党だけが「原発問題はスローガンだけで国を誤ることはしたくない。原発は安全と安心が確保されれば、必要なものは再稼働する。受けは悪いが、それを語る勇気を持たないでどうするんだ」(幹事長・石破茂)と果敢にも原発維持を掲げて選挙に臨んだことである。これは完勝以外の何物でも無く、我が国のエネルギー政策は亡国の危機から救われることになるのだ。
それにつけても「反原発」各紙の選挙誘導はひどかった。確信犯的かつイデオロギー的に脱原発の朝日は、巧妙なる脱原発への誘導記事を繰り返した。毎日も、朝日に追随する傾向を見せた。朝日が社説で脱原発での「工程表作り」を主張すれば、遅れて毎日も「脱原発と再稼働、説得力ある工程表示せ」と追随。よく似ているのだ。TBSのみのもんたは陳腐な正義感まがいのものを前面に押し出して、毎朝脱原発と怒鳴りまくり、民放全体の品位を落とした。しかし、3年前は衆愚であった浮動票が、今回は“衆賢”の浮動票に変ぼうを遂げつつある。東京は、社説で「原発事故後の日本は、一体どんな選択をするのか。どんな未来を築くのか。世界も注視する選挙なのである」と高揚感丸出しの扇動をしている。これは俳句の会では「だから、どうした」と言われるフレーズだ。中日新聞のお膝元の浜岡原発を抱える静岡2区は自民。3区も接戦だが自民党がリードだ。有権者つまり読者の選択から東京の方針は浮いているのではないか。だいいち世界が注目しても、何の腹の足しにもならない。中国も、韓国も、日本が原発ゼロに走って、亡国とならないことを内心残念がっているのだ。
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