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2006-08-14 00:00
中国と東アジア共同体構想
小宮山健二
元教員
8月9日の四条秀雄氏の投稿「中国の情報工作で、日本は2025年に滅亡する」を読んで、中国問題と東アジア共同体構想の関係について考えたことを述べたいと思います。
四条氏は共産主義の中国は、対日工作には「工作員を情報の伝達変換機能に置く」、「工作を通じて敵国の見方を重点的につぶす」との命題を立て、それに則って「中国の対日工作を分析予想」し、かかる手法によって何人かの人を出自、経歴等から「教科書的な工作員候補」とし、また日本とインドネシアの関係が最近スムーズに行かなくなっているとして、インドネシア、フィリピンの政府関係者の発言に結びつけて、それはインドネシアが中国の対日工作の対象となっているためであり、タイも危ないと推測し、そのような状況においては東アジア共同体を論ずることなどは問題外であると結論している。
そうした四条氏の仮定や推測に基づく立論・主張は、あまりにも恣意的であり、とても受け入れることは出来ないが、東アジア共同体を考えていく場合に、中国問題について慎重な熟慮を要する面があるのは、確かに避けて通れない重要な点である。体制が相違し、自由、民主主義、人権といった基本的価値観を異にする中国との間で心底から信頼しあえる関係を築けるかは疑問であり、この点を常に念頭において対処ぶりを誤らない覚悟は必要と思う。
一方、そのような国との間で協力関係はありえないかと言えば、そんなことは無く、経済、環境、越境犯罪、感染症等協力を通じて双方が裨益する分野は少なくない。今後益々そうした分野は広がり、協力の必要性も大きくなるだろう。確かに台湾問題一つを考えてみても、安全保障面での協力はあり得ないであろうが、だからと言って互いに裨益しうる協力にブレーキをかける必要はないし、得策でもない。相互に利益となる協力関係は、どんどん進めていって良いのではないか。可能な分野で意味のある国々との間で協力を進めていく結果として、中国をも含めた地域協力が深まり、市民の意識が共同体の形成に向いて強まって行くのであって、それはそれで結構なことと思う。そうしたプロセスの間に中国にも変化が生まれることを排除できない。
誰の眼にも不可能と思われたような状況でも、十年単位で見れば進展がありえるかも知れない。それが、かつて共産主義であった東欧諸国が欧州共同体の一翼を担っている今日の欧州を見て感じることです。そうした意味において、東アジア共同体は四条氏の言うような「どうでもよい」話ではなく、案外2025年には日本のみならず中国も現在のような姿の国家ではなくなっているかもしれません。
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