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2012-11-22 00:00
(連載)日米同盟を脅かす「財政の崖」(1)
高畑 昭男
ジャーナリスト
再選を果たしたオバマ米大統領にとって、当面最大の課題が「財政の崖」の回避にあることは、既に多くの人が指摘する通りだ。ブッシュ前政権以来の大型減税が今年末に失効し、来年初めには債務上限問題に端を発する歳出強制削減が発動される。このダブルパンチを食らって、米財政が急な崖から突き落とされるような危機に陥るのが「財政の崖」だ。
財政縮減の総額は5600億ドル(約45兆円)にのぼり、日本の年間新規国債発行額に匹敵するという。米経済は来年前半で3%近いマイナス成長に陥り、「世界成長率の半分が吹っ飛ぶ」という見方まである。だが、経済もさることながら、日本の安全にとってもっと心配なことは、米国防費が長期にわたる削減を強いられることだろう。オバマ政権は既に今後10年で4870億ドル(39兆円)の削減を迫られている。政府と議会が来年1月までに手を打たなければ、最悪の場合、さらに5千億ドルの削減を追加される恐れもあるという。
合わせると「10年で1兆ドル」の規模になりかねない長期・大幅削減は何を意味するのか。単純計算でも年に1千億ドル(8兆円)という削減幅は、日本の防衛関係費(平成24年度は4.6兆円)の2年分に近い額だ。日本の安全保障の基軸が日米同盟にあるのはいうまでもない。両国を合わせた金額で考えれば、日本が仮に防衛予算を2倍に増やすことができたとしても、米側ではほぼ同じ金額が毎年削られていくことを意味する。これは、同盟としてまさに深刻というほかはない。
パネッタ国防長官は今年1月、「5年間で陸軍8万、海兵隊2万の計約10万人を削減する」などの計画を発表した。これに伴い、空軍ではステルス戦闘機F35の調達の4割が先送りされ、海軍でも新規の建艦数が退役艦船の数に追いつかない状態に陥りつつある。それでなくとも今年の中国の国防費(1064億ドル)はドル換算で初めて1千億ドルの大台に乗り、日本の防衛予算の1.8倍に膨張した。しかも過去24年間、ほぼ毎年2桁増というすさまじい増強ぶりである。(つづく)
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