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2012-11-20 00:00
【自公維】連立が国民にとって最悪
杉浦 正章
政治評論家
衆院選挙序盤戦の情勢を見て、日本維新の会代表・石原慎太郎が「第3極ではなく、第2極にならないとダメだ」と大風呂敷を広げている。明らかに選挙後の政権の枠組みをにらんでの発言だ。連立政権に入り込んで、政権運営の主導権を握ろうとする姿勢だ。問題は1か月間の選挙で、維新の“馬脚”がどれほど現れるかにかかっており、即断は極めて難しい。現段階で言えることは、政権の枠組みが比較第1党になるとみられる自民党を中心の政権となる可能性が濃厚であることだ。しかし、1党だけで241議席の過半数を制することはまず困難だろう。そこでどのような枠組みがあり得るかをシュミレーションするが、まず有権者の期待度を見てみよう。マスコミ各社の世論調査によると、序盤では第3極中心の政権への期待度が意外にも大きいことが分かる。「民主、自民以外の政党中心の政権」への支持が、毎日35%、朝日34%でトップ。NHKは「民主・自民連立」の30%に次ぐ26%だった。読売は「自民、公明、維新」枠が16%でトップ、「民主、自民、公明」15%、「自民、公明」13%の順だった。調査結果が示すものは、既成政党への拒絶反応が色濃く反映しており、何も知らない「衆愚」の第3極への期待の強さを物語っている。
しかし、この期待値が実際の投票行動と連動するかは定かではない。比例区での投票先を聞くと、朝日が自民22%、民主15%、維新6%。読売が、自民26%、民主13%、維新8%となっている。今後1か月間の選挙戦を通じてどう変化するかだが、政策を棚上げにして石原と大阪市長・橋下徹の人気だけに頼る維新が、石原の言う第2極への躍進を果たすことは困難だろう。今後、原発の是非、消費増税、景気対策が論戦の焦点にならざるを得ず、石原の「小異を捨てる」というまやかしの「野合」路線や、橋下の「何から何まで一致する政党はない」などという問題のすり替えが通用するほど、甘くはないのだ。では、あり得る政権のパターンだが、自民党が第1党を取り戻す可能性は依然最大とみられる。そこで実現し得るのが【自公連立】だ。この枠組みが3年3か月にわたる民主党政権の“政治の劣化”から政治が蘇生(そせい)するためには最良の組み合わせだろう。政治に落ち着きを取り戻し、俗受けを狙わず、けれんみのない政治が。いまほど期待される時はないからだ。しかし問題は自公で過半数を達成できるかということだ。達成できなければ、乱立した小政党をかき集める方法と、民主党を引き込む方法がある。これは過半数の割り方にもよる。
割り込みが少なければ、かき集めで事足りるが、大きく割れば、【自公民連立】の動きが生ずる。民主党がたとえ70~80議席まで転落しても、【自公民】となれば300議席は達成できる。既に自公民路線は消費増税、赤字国債発行法案、定数是正で実現しており、この流れを継承するのだ。3年余で首相・野田佳彦を始め、前原誠司、細野豪志、仙谷由人など自民党政権になっても使いたいような人材は成長している。しかし、ささやかれるように、鳩山由紀夫や菅直人が落選すればいいのだが、口幅ったい大しゅうとが付いてきては、政権もやりにくいに違いない。純化路線をさらに進めて鳩山を公認しなければ1番良いのだ。そこで苦肉の策としては【自公連立】プラス【民】が考えられる。とりあえず【自公】で連立し【民】とは政策中心の部分連合で閣外協力を求める方策である。【自公民】にせよ【自公プラス民】にせよ次善の策としては最良であろう。
もっとも危険で日本を逃げ出したくなるような政権が、維新参加の【自公維】政権だ。少なくとも民主党政権は政権のプロではないにしても、政治のプロが政権を担った。維新は、国政ど素人集団の登場となる。それも極右国粋主義者の石原が率いるのだ。「風」で当選した連中は、1票の議員票としての価値しかない。石原の演説に拍手し、他党の演説をやじるための、最悪のチルドレンの登場だ。自公は自民党総裁・安倍晋三が維新の橋下とパイプでつながっており、公明は選挙協力で連携している。したがって、連立を組もうとすれば、これまた300議席は可能だが、いったん連立を組んだら、石原の「最後のご奉公」に引っかき回される。石原は対中戦争論者だから、中国の習近平政権とは最初から対決路線となりかねない。石原は日中関係改善に向けては、決定的な阻害要因なのだ。細川護煕が実現したのが非自民の連立政権であり、石原は政権を獲得するためにはこの細川方式も脳裏に去来しているのだろう。しかし、それには公明、民主両党を引き込み、【維公民連立】政権を作らなければならないが、いくら何でも野田も公明党代表・山口那津男も敬遠するだろう。とりわけ野田は、散々維新に民主党議席を食い荒らされた上のことであり、石原の軍門に下ることはまずない。【維公民】は机上の空論に過ぎない。
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