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2012-11-07 00:00
野田政権は断末魔、持っても1月までだ
杉浦 正章
政治評論家
夏に約束した「近いうち解散」だが、もう立冬だ。こともあろうに首相が解散でうそをつき、その後の改造ではまさかの「両田中論功行賞人事」で大失態に次ぐ超大失態の連続発生。すべてが自分が掘った穴に自分が落ちた形だ。この首相・野田佳彦の体たらく、そして民主党政権が3代にわたって“立証”した統治能力の欠如。民主党には恩も恨みもないが、公平に見て、もう無理だ。末期症状だ。恐らく国民大多数の願望は政権交代にある。解散・総選挙の日程にばかり目が行くが、発想を転換して政権が持つかどうかをあえて予測すれば、長期の特別国会になるか、通常国会になるかは別として、国会審議を伴う次の国会を、野田が招集することは80~90%の確立でない。早ければ年度末、遅くても1月までが政権の限度だ。戦争や天変地異でも発生しない限り継続はない。自民党総裁・安倍晋三がテレビで「今月22日までに解散がないと、年内選挙の準備が整わない」と述べたことをとらえて、新聞が22日が年内解散の限界と書きまくっているが、本当か。
解散という何物にも優先される最高の政治テーマが机上の空論で左右されるのか。新聞は「遅くても12月4日公示、同16日の投開票の日程が有力。公示までの準備には10日間程度が必要で、解散の期限は今月22日になる」という。しかし、これは安倍が野田を追い詰めるための“戦略”として期限を区切ったことにすぎない。実現すればめでたいことだが、実現しなくても、いくらでも日程は立てられる。過去の歴史を見れば12月下旬から1月にかけての解散の事例は戦後4回ある。吉田茂が12月23日、鳩山一郎が1月24日、佐藤栄作が12月27日、海部俊樹が1月24日だ。事態の進展によっては、いくらでもバリエーションが利くのだ。田中角栄による1972年の「日中」解散は11月13日だったが、その後の特別国会は通常国会に代わるものとして召集され、280日間の長期にわたっている。
こうした日程を念頭に置けば、ちまちました“安倍日程”に必ずしもこだわる必要はない。もちろん安倍が解散を急ぐのは野党の戦略として当然のことだが、その先にバリエーションがあるのだ。安倍は野田が「近いうち解散の確約」を「『うそつき』と言われないように頑張りたい」と発言したことを取り上げ、「何をどう頑張るのか、今週中に明らかにすべきだ」と述べ、野田に対し、年内解散に踏み切ることを今週中に確約するよう求めた。しかし、安倍の戦い方の欠点は、これを直接野田に申し入れるのではなく、メディアに向けて発信していることだ。もどかしいのだ。このため野田からは「メディアを通じた文通みたいだ。何か聞きたいことがあるのならば、むしろ国会での党首討論で、国民の見える前でやった方がいいと思う」と言われてしまったのだ。民主党の戦略は党首討論で安倍の赤字国債への対応をあぶり出して、法案成立への一里塚にしようというところにある。また党首討論を14日に設定したのは、少しでも遅らせたいという幹事長・輿石東の姑息(こそく)な思惑がある。時期はともかくとして、安倍は躊躇せずに党首討論に応ずるべきだ。
こうして安倍の早期確約要求戦略がまさに佳境に達しようとしている。野田が何らかの形で再約束すれば、それでけりがつく。しかし、ずるずると引っ張れば一定期間は引っ張れる。安倍は今週の確約に拘泥する必要はない。なぜならここまでくれば、早期解散日程の選択肢はいくらでもある。野田政権の「追い詰められ度」は尋常でないところまで来ているのである。田中真紀子の超大失態でとどめを刺される寸前まで来た。世論は、ごうごうたる政権批判の渦だ。田中はずるがしこくも、自らの大失態を覆い隠すために「新しい基準のもとでもう一回審査をする」と“糊塗策”に出た。まさに誰もが分かる浅知恵であり、人生設計を狂わされる若者の気持ちなどつゆほども考えていない。先延ばしは事態をさらなる悪化に持ち込むことが分かっていない。官房長官・藤村修はこの期に及んでも文科相の専権事項扱いしているが、野田の任命責任が免れるとでも思っているのとしたら甘い。政権は末期のそのまた末期にまで到達した。野田は当面の解散要求をかわしても、もう絶対に外れることのないトラバサミにかかったタヌキであることを認識すべきだ。国のためを思うなら、次期政権による予算編成の余裕を残して、潔く直ちに解散するのが憲政の常道だ。臨時国会解散をたとえしのいでも、通常国会冒頭解散は避けられない。もちろん野田が招集することになるが、事実上解散のための招集となる。その後の特別国会は次期政権が招集する。いずれにしても退陣が避けられないのなら、現段階で決断することが国民へのせめてもの“おわび”なのだ。
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