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2012-10-29 00:00
(連載)TPPについての考え方(2)
鈴木 馨祐
前衆議院議員
私は日本の企業の技術力や日本人の底力を信じています。今ならば外国勢と競争して優位に立つことは十分に可能だと思います。私は日本の企業や日本人は、保護しなくてはならない脆弱な競争力のない存在だとは考えていません。もちろんその支援のためには、それぞれの個人や企業が、人材や技術など必要なところに投資出来るように減税や規制改革をする必要がありますし、域内の共通ルールを策定するにあたっては、知的財産権の保護や訴訟における進出先の企業とのイコールフッティングなどを実現させるよう、政府・政治家が全力を尽くすことが必要です。
後者について言えば、TPPの枠組みであれば、例えばASEAN+3などと異なり、この様なルールに強硬に反対する中国がイニシアティブをとることはないため、日本企業が強みをビジネスチャンスにつなげやすい環境を作ることは充分可能です。以前、構造改革を巡る議論のときに「ゆでガエル」という話がよく出ていた記憶があります。最初から熱いお湯に飛び込んだ場合にはすぐに飛び出して死にはしないカエルも、徐々にゆだっていくぬるま湯の中にいるとなかなか気がつかず、ついにはゆだって死んでしまうという寓話です。現状維持、変化への恐れが強すぎると必要な改革が遅れて死に至ることにもなる、という教訓だと思います。
何事も変化というのは怖いものです。特に国を開くということは幕末を見ても明らかなように、後から見れば選択の余地がないものでも、そのときにはいろいろな「やらない理由」「やったことによるリスク」ばかりに目がいって、「やらないことによるリスク」には鈍感になってしまうのが人間の性です。同じ事象を見てピンチと思うかチャンスと思うか。それはある意味で、自らの力、自国の底力を信じるか否かの問題であり、そして、それをやらないで済むのか、やらないリスクはどのくらいなのかに関する外部環境の分析、自己の立ち位置の客観的判断の問題です。
TPPの問題、私は自民党としてもそろそろ党内の一部の反対派に気兼ねして「聖域なき」TPPには反対するという玉虫色の表現をするのではなく、参加の決断を明確にして、国益を守る交渉を推し進めるべきだと思います。それが国益のために尽くす政党のあるべき姿なのではないでしょうか。(おわり)
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