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2012-10-24 00:00
超大国の覇権に挑む国家は必ず滅びる
伊藤 将憲
日本国際フォーラム研究員
2010年9月7日の尖閣諸島中国漁船体当たり事件以降、中国による明確な軍拡志向が日本国民の間でも広く認知されるようになった。中国人民解放軍は第一及び第二列島線に防衛線を敷くべく邁進中であり、2015年には日本海、東シナ海及び南シナ海の制海権を確保し、アメリカ空軍及び海軍の進出を阻止する見込である。アメリカ側もステルス機と潜水艦による合同作戦を含む空海軍合同のエアシーバトル戦略で対応しようとしている。
しかし、歴史的事実として認識しておかねばならないのは、超大国の覇権に挑んだ国家は必ず衰退、そして滅亡しているという現実である。ローマ帝国に挑んだサーサーン朝ペルシャ、大英帝国に挑んだフランス王国及びドイツ帝国、そしてアメリカに挑んだ大日本帝国及びソヴィエト連邦は、いずれも衰退し、滅亡している。アメリカは独立以来、基本的には大英帝国の同盟国として成長、発展した後、両世界大戦を経て大英帝国が衰退して解体した後に超大国の地位を禅譲された。英国の次期超大国の地位は、決戦を挑んだ仏独ではなく、その同盟国として共闘していたアメリカが得たのである。
そもそも、アメリカの起源は大英帝国の北米植民地であり、独立後も旧宗主国英国を討ち滅ぼすべく敵視するのではなく、常に英国の動向を警戒し、国境を接して北の英領カナダに存在する彼らの利益を侵害せず、彼らを過度に刺激しないように配慮しながら国を発展させていった。19世紀末に工業力で英国を抜いて以降もアメリカは慎重で、ドイツ帝国皇帝ヴィルヘルム2世のように英独建艦競争のようなものを仕掛けたりなどしていないし、フロンティア消滅後の海外進出に関しても、獲得した新領土、植民地、保護国はハワイ、フィリピン、キューバ等であり、英国に真っ向から勝負を挑んだりもしていない。
将来、アメリカから他国への覇権の変遷が起こるとしたら、それは平和裏に進むことを我々人類は望んでいる。中国の選ぶべき道は第一及び第二列島線に向けての軍拡及び世界最強のアメリカ海軍第7艦隊との対峙ではなく、アメリカ及び日本を含む近隣諸国との関係を改善し、将来的には同盟を目指すことである。それが、次期超大国を望むか否かに関わらず、最良の策である筈であるし、中国にとっても一番望ましい未来であると思われる。
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